勇猛果敢
読み方:ゆうもうかかん
「勇猛果敢」の意味
「勇猛果敢」とは、危険や困難を恐れず、勇ましく思い切って行動することです。
「勇猛果敢」の語源・由来
「勇猛果敢」は、『漢書』巻八十四「翟方進伝」に、現在と同じ四字の形で見えます。
翟方進が、紅陽侯王立と親しかった朱博・孫閎・陳咸について述べた上奏文に
「勇猛果敢、處事不疑」
とあり、三人の勇ましさと迷いのない決断を表しています。
語そのものが残酷さを意味したわけではありませんが、この箇所では三人の不仁や酷虐さを批判する文章の中に置かれています。
したがって、「勇猛果敢」は『漢書』の内容をもとに後世になって四字化された表現ではなく、原典に「勇猛果敢」という四字がそのまま存在する例です。
「勇猛果敢」の使い方
次のような形で使われます。
- 「勇猛果敢な〜」
後ろに人物や態度、行動などを続けます。「勇猛果敢な武将」「勇猛果敢な姿勢」などの形です。 - 「勇猛果敢に〜」
後ろに動作を続けます。「勇猛果敢に立ち向かう」「勇猛果敢に突き進む」などと使います。 - 「勇猛果敢さ」
人物や行動に見られる性質を名詞として述べる形です。「彼の勇猛果敢さ」などと使います。
「勇猛果敢」の例文
- 格上の相手にもひるまず、彼は最後まで勇猛果敢に攻め続けた。
- 新規事業の責任者には、難しい局面でも決断できる勇猛果敢な人材が選ばれた。
- 現場を指揮した隊長の勇猛果敢さは、緊迫した状況で大きな支えとなった。
「勇猛果敢」の類似表現
剛毅果断(ごうきかだん)
「剛毅果断」は、意志が強く、思い切って物事を行うことをいいます。
「勇猛果敢」よりも、容易に屈しない意志と決断力を述べたい場面に適しています。
猪突猛進(ちょとつもうしん)
「猪突猛進」は、周囲の状況を十分に考えず、一つの方向へ激しく突き進むことです。
向こう見ずという含みを持つ点が異なり、単に勇気をもって決断・行動することを「猪突猛進」とはいいません。
「勇猛果敢」の古い用例
日本語では、少なくとも明治11年(1878年)までさかのぼる用例があります。
『内外兵事新聞』第133号(1878年3月3日)の「陸海軍雑報」には、姫路駐屯地の換文社で茨木惟昭が、戦時には命令に従って
「勇猛果敢に戦い」
と説いたことが記されています。
「勇猛果敢に」の後ろへ動詞を続け、戦闘時の心構えを述べた明治初期の例です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「勇猛果敢」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 班固ら『漢書』巻八十四「翟方進伝」。
- 中華民国教育部『成語典』「勇猛果敢」項。
- 谷口眞子「思想史と軍事史の架橋―西周『兵家徳行』をめぐって―」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第65輯、2020年、734~754頁。
