天変地異
読み方:てんぺんちい
「天変地異」の意味
「天変地異」とは、天地の間に起こる大きな自然の異変のことです。
災害だけでなく、日食や彗星の出現など、昔から異常な現象と受け取られてきた天文現象も含みます。
「天変地異」の語源・由来
「天変」と「地異」を組み合わせた言葉です。
特定の一つの故事から生まれた四字熟語ではなく、天に起こる異変と地に起こる異変を並べて、天地の異常現象を広く表す形になっています。
中国では、明代の上奏文を集めた『皇明嘉隆疏抄』に、嘉靖4年(1525)の文として
「近者天變地異無處無之」
とあり、「天變地異」という現在と同じ四字の並びが使われています。
少なくとも16世紀の中国ですでにこの語形が存在していましたが、これが最初の用例であるとは断定できず、四字の形が成立した時期は明確ではありません。
「天変地異」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「天変地異が起こる/相次ぐ」
大きな異変の発生を述べるときに使います。「天変地異が起こる」「天変地異が相次ぐ」などの形です。 - 「天変地異に見舞われる」
地域や人々が大きな異変の影響を受ける場合に使います。「度重なる天変地異に見舞われる」などと続けます。 - 「天変地異に備える」
災害への準備について述べる場合に使います。「予測できない天変地異に備える」などの形です。 - 「天変地異の〜」
後ろに「前触れ」「記録」「歴史」などの名詞を続けます。「天変地異の前触れ」などと使います。
「天変地異」の例文
- 昔の人々は、日食や彗星の出現を天変地異として恐れることがありました。
- この施設は、予期しない天変地異が発生しても通信を維持できるよう設計されています。
- 長い歴史の中で、この地域は幾度もの天変地異に襲われてきました。
「天変地異」の類似表現
天災地変(てんさいちへん)
意味は非常に近く、自然界に起こる災害や異変を指します。
多くの場面で「天変地異」と言い換えられます。
天変地夭(てんぺんちよう)
「天変地異」と同じ意味を持つ古い表現です。
「天変地妖」とも書かれ、日本では平安時代末期の『玉葉』にも用例があります。
「天変地異」を構成する言葉の意味
天変
天空に起こる異変を指します。
暴風や豪雨、雷などの気象現象のほか、日食・月食・彗星なども含まれます。
地異
地上に起こる異変を指し、地震や洪水などが代表的です。
「天変地異」の古い用例
明治元年(1868)、小幡篤次郎は科学啓蒙書『天変地異』を刊行しています。
その序には
「抑も世に云ふ所の天変地異は此その理ある事にて」
とあり、この時期に「天変地異」が日本語の文章で実際に使われていたことが分かります。
同書には「天變地異」という旧字体の表記もあり、現存本の目録題には「天變地異(てんぺんちゐ)」と読みを付したものがあります。
明治初年には、現在と同じ四字の語形が旧字体・歴史的仮名遣いで記録されていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「天変地異」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「天変地異」項。
- 張鹵輯『皇明嘉隆疏抄』。
- 小幡篤次郎『天変地異』慶應義塾、1868年。
