善かれ悪しかれ
読み方:よかれあしかれ
「善かれ悪しかれ」の意味
よい結果になるにせよ悪い結果になるにせよ、どちらであってもという意味です。
物事への評価がよいか悪いかにかかわらないことを示します。
「善かれ悪しかれ」の語源・由来
「よかれ」は昔の言葉の形容詞「よし」の命令形、「あしかれ」は「悪い」を意味する昔の言葉の形容詞「あし」の命令形です。
反対の意味を持つ「よかれ」と「あしかれ」を並べることで、「良い場合でも悪い場合でも」という意味を表す言い方になりました。
同じ「〜かれ〜かれ」の形には、「多かれ少なかれ」「遅かれ早かれ」などがあります。
いずれも対になる言葉を並べ、「どちらの場合であっても」という関係を示します。
「善かれ悪しかれ」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「善かれ悪しかれ、〜」
文の初めに置き、その後に、よい場合でも悪い場合でも変わらない事柄を続けます。「善かれ悪しかれ、結果を待つ」「善かれ悪しかれ、決定に従う」などの形です。 - 「〜は、善かれ悪しかれ〜」
話題となる人物や物事を先に示し、その評価にかかわらず成り立つ内容を後ろに続けます。「この改革は、善かれ悪しかれ社会を変える」「彼の発言は、善かれ悪しかれ注目を集める」などと使います。
「善かれ悪しかれ」の例文
- 新しい制度の導入は、善かれ悪しかれ、社員の働き方を大きく変えるだろう。
- 彼の厳しい指導は、善かれ悪しかれ、多くの選手の記憶に残っている。
- 善かれ悪しかれ、あの経験が今の私の考え方に影響を与えたのは確かだ。
「善かれ悪しかれ」の類似表現
良くも悪くも(よくもわるくも)
意味や使われ方には重なる部分が多く、さまざまな場面で言い換えられます。
「良くも悪くも」のほうが日常の会話でも使いやすく、ある物事に長所と短所の両面があることを述べる場合にもよく用いられます。
いずれにしても(いずれにしても)
複数の可能性のうち、どの場合でも結論が変わらないことを示します。
「善かれ悪しかれ」のように、よい・悪いという逆の評価を対にして示す必要はありません。
「善かれ悪しかれ」の古い用例
近松門左衛門の浄瑠璃『心中二枚絵草紙』(1706年)には、「よかれあしかれ、おのれが冷にも熱気にもなる事か」とあります。
「よかれあしかれ」という現在と同じ言い回しが、江戸時代初期にはすでに使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「善かれ悪しかれ」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「善悪(よかれあしかれ)」項。
