反故にする
読み方:ほごにする
「反故にする」の意味
以前に決めたことや約束、契約、意向などを、なかったものとして無効にすることです。
紙などを無駄にして捨てるという文字どおりに近い使われ方もありますが、現在は「約束を反故にする」「合意を反故にする」のように、いったん成立した事柄を取り消す意味でよく使われます。
「反故にする」の語源・由来
「反故」は、もともと書き損じるなどして不用になった紙を指す古い言葉です。
そこから、紙に限らず「役に立たなくなったもの」「むだなもの」、さらに「取消し・無効」という意味でも使われるようになりました。
その「反故」に「する」が付いた「反故にする」は、約束や言動などを不用のものと同じように扱い、効力のないものにする表現として定着しました。
「反故」には古くから「ほぐ」「ほうぐ」「ほうご」「ほんご」など複数の言い方があり、「ほご」が一般的になったのは比較的新しい時代です。
「反故にする」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「約束・契約などを反故にする」
「を」の前には、すでに決めた約束、契約、合意などが置かれます。「約束を反故にする」「契約を反故にする」などの形です。 - 「意向・方針などを反故にする」
人が示した考えや、いったん決めた方針についても使えます。「本人の意向を反故にする」「以前の方針を反故にする」などと使います。 - 「〜が反故にされる」
受け身にすると、約束や合意などが一方的に無効にされたことを表せます。「合意が反故にされる」「取り決めが反故にされた」などの形です。
「反故にする」の例文
- 長い交渉の末に結んだ約束を一方的に反故にするようでは、相手からの信用を失いかねない。
- 新しい責任者が就任したからといって、これまでの合意がすべて反故にされたわけではない。
- 彼は家族の希望を尊重し、以前に立てていた計画を反故にすることを決めた。
「反故にする」の類似表現
白紙に戻す(はくしにもどす)
交渉や計画などを、それまでの経緯をいったん取り払い、最初の状態から考え直すときに使います。
「計画を白紙に戻す」のように、やり直す余地を残す場合にも使える点が異なります。
撤回する(てっかいする)
発言、決定、提案などを取り下げることを指す、よく使われている表現です。
「発言を撤回する」「提案を撤回する」のように使え、「反故にする」ほど約束を破ったという否定的な響きを伴わない場合もあります。
「反故にする」の古い用例
『精選版 日本国語大辞典』では、「ほぐにする」の古い例として、江戸時代前期の雑俳『丹舟評万句合』(1704~1711年)の中の「やくそくほぐにする」という記述が挙げられています。
18世紀初めには、すでに約束を無効にするという意味で使われていたことがわかります。
現在と同じ「ほごにする」という言い回しでは、歌舞伎『四天王楓江戸粧』(1804年)に「存意を反故にする」という記述があります。
「存意」は考えや意向のことで、人の意向をないものとして扱うという使われ方です。
「反故にする」の間違いやすい使い方・表記
「反故」は「ほご」と読み、「はんこ」「はんご」とは読みません。
表記には「反故」のほか「反古」もあり、どちらも古くから使われていて、現在の辞書でも「反故・反古」の両方が示されています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「反故にする」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「反故」「反故にする」項。
- 『丹舟評万句合』、1704~1711年。
- 『四天王楓江戸粧』、1804年。
