墓穴を掘る
読み方:ぼけつをほる
「墓穴を掘る」の意味
自分が発した言動によって不利になったり、破滅につながる原因を自ら作ったりすることを意味します。
特に、余計な発言や軽率な行動、よかれと思ってしたことなどが、かえって自分を追い込む結果になった場合によく用いられます。
「墓穴を掘る」の語源・由来
「墓穴」は、棺や骨壺を埋めるために掘る穴のことです。
「自分が入ることになる墓穴を、自分の手で掘る」という発想から、自ら破滅の原因を作ることをたとえる表現になっています。
「人を呪わば穴二つ」や陰陽師の逸話と結び付けて説明されることもありますが、「墓穴を掘る」がそこから生まれたと断定できる確かな根拠は確認されていません。
「墓穴を掘る」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜で墓穴を掘る」
「〜」には、自分を不利にした発言や行動、その原因となった事柄が入ります。「余計な発言で墓穴を掘る」「見栄を張って墓穴を掘る」などの形です。 - 「墓穴を掘ってしまう」
意図せず自分に不利な結果を招いたことを表すときによく使われます。「言い訳を重ねて墓穴を掘ってしまう」「隠そうとして墓穴を掘ってしまった」などと使います。 - 「墓穴を掘ることになる」
ある行動が、結果として自分を苦しめる原因になることを示します。「無理を続ければ墓穴を掘ることになる」「安易なごまかしは墓穴を掘ることになる」などの形です。 - 「自ら墓穴を掘る」
「自ら」を添えて、自分自身の行動が原因であることをはっきり示す形です。「不用意な発言で自ら墓穴を掘る」「強引な策で自ら墓穴を掘った」などと使います。
「墓穴を掘る」の例文
- 不正を隠そうとして説明を何度も変えたため、かえって矛盾が目立ち、墓穴を掘ってしまった。
- 相手を困らせるつもりで厳しい条件を出したが、自社にも大きな負担がかかり、結果的に墓穴を掘ることになった。
- 知ったかぶりをせず黙っていればいいものを、余計なことまで話して自ら墓穴を掘った。
「墓穴を掘る」の類似表現
自分の首を絞める(じぶんのくびをしめる)
自分の行動が原因となって、自分自身を苦しい立場に追い込む場合に使います。
「墓穴を掘る」と意味が近く、多くの場面で言い換えられます。
「自分の首を絞める」は、自分に課した条件や行動によって次第に苦しくなる場合にも使いやすい表現です。
自縄自縛(じじょうじばく)
自分の言動や決めたことに縛られて、自分で身動きが取れなくなることをいいます。
「墓穴を掘る」よりも、自分が作った制約や矛盾によって自由を失う場面に適しています。
「墓穴を掘る」の間違いやすい使い方・表記
慣用句として使う場合、「墓穴」は「はかあな」ではなく「ぼけつ」と読みます。
「墓穴」だけなら「はかあな」という読みもありますが、「墓穴を掘る」という慣用表現では「ぼけつをほる」が一般的な読み方です。
「墓穴を掘る」の古い用例
『精選版 日本国語大辞典』では、江口渙の『労働者誘拐』(1918年)にある「自分で自分の墓穴を掘る」という記述を、「墓穴を掘る」が初めて世に出た作品として挙げています。
この用例では、実際の墓を掘る意味ではなく、自分の行動によって自分を破滅へ向かわせるという比喩的な意味で使われています。
1918年には、現在とほぼ同じ使われ方がされています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「墓穴を掘る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「墓穴を掘る」項。
