読み方:こうなりなをとげる

「功成り名を遂げる」の意味

立派な仕事や事業を成し遂げ、それによって世間から名声を得ることです。

「功成り名を遂げる」の語源・由来

中国古典にある「功成名遂」を訓読した表現です。

『老子』第九章には「功成名遂身退、天之道」とあり、功績と名声を得た後に身を退くことを説いています。

『墨子』修身篇にも「功成名遂」の言葉があり、この四字の組み合わせは古代中国ですでに使われていました。

日本語では「功成り名遂ぐ」と訓読され、のちに「功成り名遂げる」「功成り名を遂げる」という形でも使われるようになりました。

「功成り名を遂げる」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「〜として功成り名を遂げる」
    「〜」には、その人が成功した職業や分野を入れます。「実業家として功成り名を遂げる」「作家として功成り名を遂げる」などの形です。
  • 「功成り名を遂げた〜」
    成功して名声を得た人物を後ろの名詞で示します。「功成り名を遂げた経営者」「功成り名を遂げた芸術家」などと使います。
  • 「功成り名を遂げて〜」
    後ろに、その後の行動や状態を続ける形です。「功成り名を遂げて引退する」「功成り名を遂げて故郷へ戻る」などと続けます。

「功成り名を遂げる」の例文

  • 地方の小さな工房から出発した彼は、独自の技術を武器に世界へ進出し、経営者として功成り名を遂げた
  • 彼女は長年第一線で活躍し、功成り名を遂げてからは後進の育成に力を注いでいる。
  • 若いころは無名だったその画家が、晩年には海外でも高く評価され、ついに功成り名を遂げるとは誰が想像しただろうか。

「功成り名を遂げる」の類似表現

名を成す(なをなす)

名声を得ることを中心にいう表現です。

仕事上の大きな功績まで明示しないため、芸術や学問などで広く知られるようになる場合にも使えます。

立身出世(りっしんしゅっせ)

社会的な地位が上がり、世に認められることをいいます。

昇進や社会的成功について使いやすく、大きな仕事を成し遂げたことを必ずしも含みません。

「功成り名を遂げる」の古い用例

世阿弥の能楽論書『花鏡』には、「功成り名遂ぐる所は、能の上がる果也」とあります。

『花鏡』は1424年に完全版が成立したとされ、この箇所では、芸が高い段階まで上達した結果として功績と名声を得ることが述べられています。

室町時代には、現代の「遂げる」に当たる古い形「遂ぐる」を用いた「功成り名遂ぐる」という言い回しが使われていました。

『精選版 日本国語大辞典』も『花鏡』を「功成り名遂ぐ」が初めて世に出た例として挙げています。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「功成り名を遂げる」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「功成り名遂ぐ」項。
  • 『老子』第九章。
  • 『墨子』修身篇。
  • 世阿弥『花鏡』、1424年成立。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。