火が付く
読み方:ひがつく
「火が付く」の意味
何かをきっかけに、物事が急に勢いづいたり、感情や騒ぎが高まったりすることです。
「人気に火が付く」「闘志に火が付く」「議論に火が付く」など、勢いが増していくものについて広く使われます。
文字どおりには、物が燃え始めることも「火が付く」といいます。
「火が付く」の語源・由来
もともとは、物に火が移って燃え始めることをいう表現です。
そこから、ある出来事の影響が及んで騒ぎや事件が起こることを、火が燃え始める様子になぞらえて「火が付く」というようになりました。
さらに、人気、闘志、怒り、競争などが急に勢いを増す場合にも使われるようになり、現在ではこうした使われ方が多くなりました。
「火が付く」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に火が付く」
「〜」には、人気、闘志、怒り、議論、競争など、勢いが高まるものを表す語が入ります。「人気に火が付く」「闘志に火が付く」などの形です。 - 「〜をきっかけに、〜に火が付く」
勢いが増し始めた原因やきっかけを前に置く形です。「口コミをきっかけに人気に火が付く」「失点をきっかけに闘志に火が付く」などと使います。 - 「〜に火が付き、〜」
「火が付く」の連用形を使い、その後に起きた変化や動きを続けます。「競争に火が付き、値下げが進む」「議論に火が付き、発言が相次ぐ」などの形です。 - 「一度〜に火が付くと」
勢いが生じた後の状態について述べる形です。「一度人気に火が付くと広がりが早い」「一度議論に火が付くと止まらない」などと使います。
「火が付く」の例文
- 動画で紹介されたことをきっかけに、ご当地の菓子は若者の間で人気に火が付いた。
- 前半に点を奪われたことで選手たちの闘志に火が付き、後半は激しい攻撃を続けた。
- 一人の発言から議論に火が付き、会議は予定していた時間を大きく超えた。
「火が付く」の類似表現
火を付ける(ひをつける)
「火を付ける」は、騒ぎや感情などが起こるきっかけを作る側について使います。
「不用意な発言が論争に火を付けた」のように、「〜を」という形で言葉をつなぎます。
「火が付く」は「人気に火が付く」のように、変化が起きる側について「〜に」の形で使うのが基本です。
拍車が掛かる(はくしゃがかかる)
すでに進んでいる物事の勢いが、さらに強まる場合に使われることが多く、「円安で値上げに拍車が掛かる」などと使います。
「火が付く」は、勢いが生まれ始める時点を表す場合にもよく使われるため、「人気に火が付く」と「人気に拍車が掛かる」ではそれぞれに合う場面が違います。
「火が付く」の古い用例
1910年に『読売新聞』で連載された島崎藤村の小説『家』上巻には、「四方八方に火が点いたから驚く」という記述があります。
ここでは実際の火災ではなく、いくつもの方面で問題が起こっている状況を「火が点いた」と表しています。
「付いた」ではなく「点いた」という表記ですが、1910年には、事件や問題が起こることを火にたとえる使われ方が、文学作品に多く見られます。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「火が付く」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「火が付く」項。
- 集英社辞典編集部編『ルーツでなるほど慣用句辞典』集英社、1991年、「火がつく」項。
- 島崎藤村『家』(上)、1910年。
