手が後ろに回る
読み方:てがうしろにまわる
「手が後ろに回る」の意味
悪事や犯罪が明るみに出て、警察などに捕らえられることを意味します。
特に、悪事を続けている人がいずれ逮捕される、という文脈で使われることの多い表現です。
「手が後ろに回る」の語源・由来
罪人を捕らえる際、両手を背中側に回して後ろ手に縛ったことに由来します。
その姿を「手が後ろに回る」と表したものが、罪を犯して捕らえられることを指す慣用句になりました。
「手が後ろに回る」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜の手が後ろに回る」
「〜」には、悪事を行った人物やその立場を表す言葉が入ります。「犯人の手が後ろに回る」「関係者の手が後ろに回る」などの形です。 - 「手が後ろに回ることになる」
このままでは逮捕されるという将来の成り行きを述べるときに使います。「発覚すれば手が後ろに回ることになる」「いずれ手が後ろに回ることになる」などと使います。 - 「手が後ろに回るような〜」
「ような」の後ろに「こと」「まね」などを続け、犯罪になりかねない行為を指します。「手が後ろに回るようなこと」「手が後ろに回るようなまね」などの形です。
「手が後ろに回る」の例文
- 会社の金を長年着服していたことが発覚し、とうとう経理担当者の手が後ろに回った。
- 「そんな危ない仕事を続けていたら、いつか手が後ろに回ることになるぞ」と兄は忠告した。
- 利益が出るからといって、手が後ろに回るようなことにまで関わるつもりはない。
「手が後ろに回る」の類似表現
お縄になる(おなわになる)
逮捕されることを表す点ではよく似ています。
「お縄になる」は、罪人を縄で縛ったことに由来するくだけた言い方で、「とうとうお縄になった」などと使われます。
捕まる(つかまる)
日常語として広く使える表現で、犯罪者が警察に捕らえられる場合だけでなく、逃げていた人や動物などにも使えます。
「手が後ろに回る」は、犯罪や悪事との関係が明確な場合に用いられます。
「手が後ろに回る」の古い用例
三木竹二の劇評「いがみの権太」は、1896年(明治29年)に『めさまし草』巻一・二へ発表されました。
その中で権太のせりふとして、年貢米の金を盗んだことが露見した話に、「すんでのことで手が後へ廻る所を」とあります。
現在の「後ろに」に当たる部分が「後へ」となっていますが、捕らえられそうになるという比喩的な意味で使われています。
明治29年には、現在につながる「手が後へ回る」という言い回しが用いられていたことが分かります。
『精選版 日本国語大辞典』では、山本周五郎『青べか物語』(1960年)の「できなければ手がうしろへまわる」が実例として挙げられています。
ここでも助詞は「に」ではなく「へ」で、逮捕されることを表しています。
「手が後ろに回る」の間違いやすい使い方・表記
「後手に回る(ごてにまわる)」とは別の表現です。
「後手に回る」は、相手に先を越されて対応が遅れることをいいます。
「捜査が後手に回る」と「容疑者の手が後ろに回る」では、意味も読み方も異なります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「手が後ろに回る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「手が後ろに回る」項。
- 三木竹二「いがみの権太」『めさまし草』巻一・二、1896年。
