読み方:くさいめしをくう

「臭い飯を食う」の意味

刑務所に入れられて服役することを意味します。

くだけた俗な言い方で、やや荒っぽい響きがあります。

「臭い飯を食う」の語源・由来

「臭い飯」は牢獄や刑務所で食べる飯を指す俗な言い方で、それを「食う」ことによって、囚人として収容されることを表す慣用句になりました。

刑務所の食事がなぜ「臭い」と呼ばれたのかについては、牢房内の臭気や、かつて用いられた米のにおいなど複数の説明があります。

起源を一つに特定できる確かな資料は確認できず、語源は一説に定まっていません。

「臭い飯を食う」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「臭い飯を食う/食った」
    人を主語として、現在・未来のことには「食う」、過去の服役経験には「食った」を使います。「また臭い飯を食う」「昔、臭い飯を食った」などの形です。
  • 「臭い飯を食うことになる」
    犯罪などの結果として刑務所に入る可能性や成り行きを述べる形です。「捕まれば臭い飯を食うことになる」「下手をすれば臭い飯を食うことになる」などと使います。
  • 「〜に臭い飯を食わせる」
    「食う」を使役形にして、相手を刑務所へ入れるという意味で使います。「悪党に臭い飯を食わせる」「今度こそ臭い飯を食わせる」などの形です。かなり荒っぽい言い方なので、正式な文章には向きません。

「臭い飯を食う」の例文

  • 彼は若いころに一度、臭い飯を食ったことがあるそうです。
  • そんな危ない商売を続けていたら、いつか臭い飯を食うことになるぞ。
  • 刑事は十分な証拠を集め、今度こそあの詐欺師に臭い飯を食わせるつもりでした。

「臭い飯を食う」の類似表現

物相飯を食う(もっそうめしをくう)

意味はほぼ同じで、牢獄に入ることをいいます。

「物相飯」は、飯を盛る器である「物相」に盛った飯をいい、特に近世の牢獄で囚人に与えた飯を指しました。

「臭い飯を食う」と同じく、牢獄の食事を食べることによって収監を表す言い回しです。

お縄になる(おなわになる)

「お縄になる」は、罪人として捕らえられることをいいます。

逮捕・捕縛の段階を指す言葉なので、刑務所に入って服役することを指す「臭い飯を食う」とは範囲が異なります。

「臭い飯を食う」の古い用例

三遊亭円朝『塩原多助一代記』(1885年)には、「臭(クセ)い飯を喰はせる」という言い回しが見られます。

現在の「臭い飯を食わせる」に当たる言い方で、『精選版 日本国語大辞典』では「臭い飯を食う」が初めて世に出た例として挙げられています。

19世紀後半には、牢獄に入れることと結び付いた使われ方がすでにありました。

田山花袋『重右衛門の最後』(1902年)では、「一年ほどまた臭い飯を食ふ事になつた」という言い方が使われています。

現在の「臭い飯を食うことになった」とほぼ同じ言い回しで、本人が再び獄に入ることを表しています。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「臭い飯を食う」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「臭い飯を食う」項。
  • 河合幹雄監修『現代刑務所の作法』G.B.、2021年。
  • 田山花袋『重右衛門の最後』1902年。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。