読み方:てがかかる

「手が掛かる」の意味

何かをするために多くの手数や労力が必要になること、また、人などの世話に手間がかかることです。

子どもや動物など世話を必要とする相手だけでなく、料理、植物、機械、仕事などにも使えます。

「手が掛かる」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「〜は手が掛かる」
    人や物、作業などを話題にして、その世話や扱いに労力を要することを述べる形です。「この子は手が掛かる」「天然芝は手が掛かる」などと使います。
  • 「〜に手が掛かる」
    労力を必要とする対象や事柄を「に」で示します。「幼い子どもに手が掛かる」「商品の包装に手が掛かる」などの形です。
  • 「手が掛かる〜」
    後ろに「子」「仕事」「料理」などの名詞を続けます。「手が掛かる子」「手が掛かる作業」などと使います。
  • 「手が掛からない」
    否定形では、世話や労力をあまり必要としないことを表せます。「手が掛からない子」「手が掛からない植物」などの形です。

「手が掛かる」の例文

  • 新しく迎えた子犬はまだしつけの途中なので、思っていた以上に手が掛かる
  • この料理は下ごしらえに手が掛かるが、特別な日の一品として毎年作っている。
  • 弟は幼いころからあまり手が掛からず、一人で身の回りのことをするのも早かった。

「手が掛かる」の類似表現

世話が焼ける(せわがやける)

人や動物など、他人の助けを必要とする相手について使うことが多い表現です。

「世話が焼ける子」のように、人の面倒を見る場面によく合います。

「手が掛かる」は、料理や機械、作業などにも広く使えます。

手間が掛かる(てまがかかる)

作業や手続きなどに時間や労力が必要であることをいう表現です。

「手間が掛かる製法」「修理に手間が掛かる」など、仕事の工程について特によく使われます。

「手が掛かる」の古い用例

15世紀の『漢書列伝竺桃抄』(1458~1460年)には、「父の手がかかりたやうなもの」という記述が記録されています。

この「手が掛かる」は、男女の間に情交関係ができるという、現在ではほとんど使われない意味です。

式亭三馬の滑稽本『浮世風呂』(1809~1813年)には、「第一まア手がかからねへで」という言い回しがあります。

ここでは「手がかからない」、すなわち手数を必要としないという意味で使われており、江戸時代後期には現在につながる使われ方が見られます。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「手が掛かる」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「手が掛かる」項。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。