読み方:ようをたす

「用を足す」の意味

用事を済ませるという意味と、大小便を済ませるという二つの意味があります。

どちらを指すかは前後の文脈によって決まります。

「用を足す」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「〜で用を足す」
    「〜」には、用事を済ませる場所などが入ります。「銀行で用を足す」「駅で用を足す」などの形です。
  • 「用を足してから〜」
    先に必要なことを済ませ、そのあと別の行動をする場合に使います。「用を足してから帰る」「用を足してから席に戻る」などと続けます。
  • 「用を足しに〜」
    「用を足す」ことを目的として移動する形です。「用を足しに出かける」「用を足しに席を立つ」などと使います。

「用を足す」の例文

  • 午前中に郵便局と銀行で用を足し、午後は家で仕事をしました。
  • 長い式典が始まる前に、子どもたちには用を足しておくよう声をかけました。
  • 彼は休憩時間になると、相手に断って用を足しに席を立ちました。

「用を足す」の類似表現

用を済ます(ようをすます)

用事や仕事を終える場合に使う表現です。

「用を足す」の「用事を済ませる」という意味とは近いものの、「大小便をする」という意味では通常「用を済ます」とは言いません。

用足し(ようたし)

「用を足す」を名詞にした形で、用事を済ませることと、大小便をすることの両方を指します。

「用足しに出かける」「用足しを済ませる」などと使います。

「用を足す」の古い用例

式亭三馬の滑稽本『浮世風呂』(1809~1813年)には、「一切用を足す」という言い回しが使われています。

ここでは大小便ではなく、必要な用事を済ませる側の意味です。

江戸時代後期には、現在にも通じる「用事を済ませる」という使われ方がされています。

寺田寅彦「路傍の草」(1925年)では、厠(かわや)について述べる中で「急いで用を足す」という表現が使われています。

ここでは大小便を済ませる意味であり、大正時代には現在と同じ意味でこの使われ方がされていました。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「用を足す」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「用を足す」項。
  • 寺田寅彦「路傍の草」、『中央公論』1925年11月。
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北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。