指一本も差させない
読み方:ゆびいっぽんもささせない
「指一本も差させない」の意味
他人に少しの非難・干渉・嘲笑などもさせないことを意味します。
自分の行動や仕事について非難する隙を与えないという意味でも、他人からの口出しや介入を許さないという意味でも使われます。
「指一本も差させない」の語源・由来
「指を差す」には、指で何かを示す意味のほか、人をあざけったり非難したりする意味や、手を出して関与する意味があります。
「指を差す」を非難の意味で用いた例は中世の文献にも見られ、手を出す意味での言い回しも江戸時代にあります。
「一本も」は、一本の指さえ許さないという強い否定です。
「指を差させない」にこの形が加わり、わずかな非難や干渉も許さないことをいう表現になっています。
「指一本も差させない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に指一本も差させない」
「〜」には、仕事、方針、行動など、非難や干渉の対象となるものが入ります。「この仕事に指一本も差させない」「自分の方針に指一本も差させない」などの形です。 - 「誰にも/人に指一本も差させない」
「誰にも」「人に」などで、非難や干渉をする側を示します。「誰にも指一本も差させない」「部外者に指一本も差させない」などと使います。 - 「指一本も差させないような〜」
後ろに「仕事」「生き方」などの名詞を続ける形です。「指一本も差させないような仕事ぶり」「指一本も差させないような生き方」などと使います。
「指一本も差させない」の例文
- 彼女は提出前に資料を何度も見直し、自分の仕事には誰にも指一本も差させないという気構えで仕上げた。
- 地域の行事について、古参の役員たちは部外者に指一本も差させない姿勢を長く崩さなかった。
- 彼は日頃から言動に気を配り、周囲に指一本も差させないほど慎重に職務を果たしてきた。
「指一本も差させない」の類似表現
一指も触れさせない(いっしもふれさせない)
「一指」は一本の指のことで、「一指も触れさせない」は、人や物に少しも触れさせないことから、手出しや関与を許さない場合に使われます。
人や物を危害や干渉から守る場面では「一指も触れさせない」が使いやすく、「指一本も差させない」の方は、仕事や行動に対する非難・干渉を許さない場合にも使えます。
「指一本も差させない」の古い用例
上司小剣『太政官』(1915年)には、「この学校に指一本差させるもんか」とあります。
現在の使い方にある「も」を伴わない「指一本差させる」という言い方が使われています。
この言い方は「指一本も差させない」の初期の実例として記録されており、20世紀初めには、非難や干渉を少しも許さないという意味で使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「指一本も差させない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「指一本も差させない」「指を差す」項。
