油断も隙もない
読み方:ゆだんもすきもない
「油断も隙もない」の意味
少しも油断することができず、気を緩められないことをいいます。
人や状況に対する強い警戒のほか、「少し目を離しただけなのに」といった、あきれや困惑を込めて使うこともあります。
「油断も隙もない」の語源・由来
古くは「油断も隙もならない」という言い方で使われていました。
「ならない」の形は江戸時代の資料にも見られ、明治時代後期になると、現在使われている「油断も隙もない」の言い方が現れます。
両方の言い方が使われてきましたが、現代では「ない」の方が広く定着しています。
「油断も隙もない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜は油断も隙もない」
警戒が必要な人や相手、状況などを「〜」に置きます。「あの商売人は油断も隙もない」「この業界は油断も隙もない」などと使います。 - 「〜には油断も隙もない」
助詞「には」で、特に注意しなければならない相手を示す形です。「彼には油断も隙もない」「あの子には油断も隙もない」などといいます。 - 「油断も隙もない〜」
後ろに「相手」「人」「やつ」などの名詞を続けます。「油断も隙もない相手」「油断も隙もないやつ」などの形です。 - 「まったく油断も隙もない」
思いがけず出し抜かれたり、何かをされてしまったりしたあと、あきれを込めて言う形です。「まったく油断も隙もない」「本当に油断も隙もない」と使います。
「油断も隙もない」の例文
- ほんの数分席を外した間に弟が私のお菓子まで食べてしまい、油断も隙もないと思った。
- 交渉相手は小さな条件の違いも見逃さない油断も隙もない相手なので、契約書を念入りに読み直した。
- あのチームは試合終了の直前まで積極的に攻めてくるから、油断も隙もない。
「油断も隙もない」の類似表現
油断ならない(ゆだんならない)
意味は非常に近く、多くの場面で言い換えられます。
「油断も隙もない」は「油断ならない」よりも強調された言い方で、人に出し抜かれたときのあきれを込めた会話にもしっくりきます。
気が抜けない(きがぬけない)
注意を保ち続けなければならず、緊張を緩められない状態について使います。
「長時間の作業で気が抜けない」のように、特定の相手から何かをされる心配がない場合にも使える点が異なります。
「油断も隙もない」の古い用例
江戸時代には、現在の「ない」ではなく「ならない」に当たる言い方がされていました。
『俚言集覧』(1797年以降成立)にも「油断も隙もならない」の言い回しが収められています。
人情本『珍説豹の巻』(1827年後)には「油断も透もなりませぬ」とあります。
「透」は「すき」と読まれ、「なりませぬ」という古い言い方で使われています。
田山花袋『妻』(1908~09年)には「油断も隙も無いやうに思はれる」とあり、明治時代後期には現在と同じ「油断も隙もない」の言い回しが使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「油断も隙もない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「油断」項。
- 神永曉「第321回 油断も隙も“ない”のか“ならない”のか?」ジャパンナレッジ「日本語、どうでしょう?」、2016年7月11日。
