身が入る
読み方:みがはいる
「身が入る」の意味
物事に気持ちを向け、真剣に取り組むことを意味します。
気が乗って一心になったり、熱中したりする状態をいい、ただ作業をしているだけでなく、意識を集中させて取り組んでいるという含みがあります。
「身が入る」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に身が入る」
「〜」には、仕事、勉強、練習など、取り組む物事を表す言葉が入ります。「仕事に身が入る」「研究に身が入る」などの形です。 - 「〜に身が入らない」
集中できないときには、否定形がよく使われます。「勉強に身が入らない」「授業に身が入らない」などといいます。 - 「〜に身が入っている/入ってきた」
「入っている」は真剣に取り組んでいる状態、「入ってきた」は次第に熱心になってきた変化を示します。「練習に身が入っている」「仕事に身が入ってきた」などの形です。
「身が入る」の例文
- 新しい企画の方向性が決まり、メンバーもようやく仕事に身が入るようになりました。
- 明日の試験結果が気になって、授業を受けていてもどうしても身が入らない。
- 大会の日が近づくにつれて、選手たちは以前にも増して練習に身が入ってきた。
「身が入る」の類似表現
身を入れる(みをいれる)
意味は「身が入る」とよく似ており、多くの場面で近い内容を表せます。
「勉強に身を入れる」のように、「身を入れる」は本人が意識して一生懸命取り組む形で使われます。
「身が入る」は「仕事に身が入る」のように、真剣に取り組んでいる状態を述べる形です。
本腰を入れる(ほんごしをいれる)
「本腰を入れる」は、それまで以上に本気になって物事へ取り組む場合によく使われます。
「来月から資格試験の勉強に本腰を入れる」のように、取り組み方を本格的なものへ変える場面にも適しています。
「身が入る」は、すでに行っている仕事や勉強などに気持ちが集中している状態にも使えます。
「身が入る」の「身」の意味
「身」には、身体という意味だけでなく、「自分が何かをしようとする心」「誠心」という古い意味もあります。
「身が入る」の「身」は、この精神的な意味に関係する使い方です。
「身が入る」の古い用例
島崎藤村の小説『破戒』(1906年)には、「話に身が入って」という記述があります。
この時点で、「身が入る」は話に熱中するという、現在につながる意味で使われています。
ただし、「身が入る」という言い回しそのものには、これより古い別の意味もありました。
1563年の『玉塵抄』では「寒がみが入て」とあり、「身にしみる」という意味で使われています。
1776年の浄瑠璃『志賀の敵討』には「足に身が入て」という記述があり、筋肉が疲労してこわばり、痛む意味を表しています。
現在の「真剣に取り組む」という慣用句とは別の使われ方です。
「身が入る」の間違いやすい使い方・表記
真剣に取り組む意味では「身が入る」という表記が一般的ですが、「実が入る」にも「一生懸命になる」という同義の使われ方が辞書に記録されており、18世紀の『根無草』にも記述があります。
ただし、「実が入る」は本来、果実などが熟する意味にも使われます。
現代文で「仕事に身が入る」「勉強に身が入らない」などと書く場合は、「身」とするほうが意味を取り違えにくい表記です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「身が入る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「身が入る」「身」「実が入る」「身を入れる」「本腰を入れる」項。
