磨きを掛ける
読み方:みがきをかける
「磨きを掛ける」の意味
技術や能力、芸、表現などを鍛え、さらに優れたものへ高めることです。
すでに備わっている長所や性質を、練習や経験によっていっそう洗練させる場合によく使われます。
文脈によっては、ある性質や程度をさらに強める意味にもなります。
「磨きを掛ける」の語源・由来
もとは、物を磨いて光沢を出すことをいう表現です。
表面を磨くことで物が美しく仕上がることから、一段と優れたものにする、洗練させるという比喩的な意味へ広がりました。
「磨きを掛ける」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に磨きを掛ける」
助詞「に」の前には、さらに高めようとする技術・能力・芸・性質などを置きます。「話術に磨きを掛ける」「得意技に磨きを掛ける」などの形です。国立国語研究所の用例でも、「プレゼン力に磨きをかけた」のような形が示されています。 - 「さらに/一段と〜に磨きを掛ける」
すでにある程度身についているものを、もう一段高めることを強調する形です。「さらに技術に磨きを掛ける」「一段と表現力に磨きを掛ける」などと使います。 - 「〜に磨きを掛けて〜」
磨きを掛けたうえで次の行動に進むときに使いやすい形です。「演技に磨きを掛けて舞台に臨む」「語学力に磨きを掛けて留学に備える」などと続けます。 - 「〜に磨きを掛け続ける」
長い期間にわたって技術や能力を高めていくことを表します。「料理の腕に磨きを掛け続ける」「守備力に磨きを掛け続ける」などの形です。
「磨きを掛ける」の例文
- 若手職人は毎日の仕事を通じて腕に磨きを掛け、難しい仕上げも任されるようになりました。
- 大会までの半年間、彼女は得意のサーブに磨きを掛けてきました。
- 新商品の発売に向け、開発チームはデザインと使いやすさの両方に磨きを掛けました。
「磨きを掛ける」の類似表現
腕を磨く(うでをみがく)
「腕を磨く」は、練習や経験を重ねて技能を高めることをいいます。
「料理の腕を磨く」「職人として腕を磨く」など、主に技量や技術について使われます。
「磨きを掛ける」は「技術に磨きを掛ける」「表現力に磨きを掛ける」のように、技能以外の能力や性質にも広く使えます。「さらに高める」という意味合いも出しやすい表現です。
磨きが掛かる(みがきがかかる)
「磨きが掛かる」とは、技術や人格などが、より一層優れたものになることを意味します。
もともとは物を磨いていっそう美しくする(輝きが増す)という意味でした。
そこから転じて、鍛錬や努力を重ねた結果、能力や腕前、品格などがさらに洗練され、立派になる状態を指して使われるようになりました。
「磨きを掛ける」の古い用例
1705年ごろの俳諧『橋南』には、「鑓の柄に磨をかけて暮の月」という記述があります。
ここでは槍の柄を磨くという、文字どおりの意味で「磨をかけて」が使われています。
表記も現在よく見られる「磨きを掛ける」ではなく、「磨を掛ける」です。
1836年の人情本『春色恵の花』には、「此むすめを今一際、みがきをかけて」という記述があります。
物ではなく人物を対象として「みがきをかける」と表現しており、江戸時代後期にはこの使われ方が広がっていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「磨きを掛ける」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「磨を掛ける」項。
- 国立国語研究所『基本動詞ハンドブック』「掛ける・懸ける・架ける」。
