埒が明く
読み方:らちがあく
「埒が明く」の意味
物事が順調に進み、きまりがつくことです。
「かたがつく」「物事がはかどる」という意味があります。
「埒が明く」の語源・由来
「埒」は、もともと馬場の周囲に設ける柵を指す言葉です。
そこから、物を囲う柵や仕切りも「埒」と呼ぶようになりました。
16世紀末から17世紀初めごろには、「埒」はすでに比喩的な表現にも使われていました。
『日葡辞書』には「埒を明くる」に当たる言葉があり、物事をうまく明らかにするという意味が記されています。
「埒が明く」も、物事がはかどり、きまりがつくことをいう表現として定着しました。
「埒が明く」の由来を特定の神社の競馬や神事に結びつける説もありますが、慣用句の成立をその出来事に直接結びつける確かな根拠は明らかではありません。
「埒が明く」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜では埒が明かない」
方法や手段を「〜」に入れ、それだけでは物事が進まないことを述べる形です。「電話では埒が明かない」「口頭の説明だけでは埒が明かない」などと使います。 - 「〜しても埒が明かない」
同じことを続けても進展しない場合に使います。「待っていても埒が明かない」「言い争っても埒が明かない」などの形です。 - 「ようやく埒が明く/埒が明いた」
長く停滞していた事柄が進んだときには、肯定形も使われます。「ようやく埒が明く」「交渉の埒が明いた」などと使います。
現代では、肯定形の「埒が明く」より、否定形の「埒が明かない」を目にすることが多い表現です。
「埒が明く」の例文
- 電話で何度説明しても話がかみ合わず、これでは埒が明かないと直接会うことにした。
- 数か月続いた条件交渉も、双方が譲歩したことでようやく埒が明いた。
- 同じ資料を何度見直しても埒が明かないので、専門家に意見を求めた。
「埒が明く」の類似表現
片が付く(かたがつく)
未解決だった問題や仕事が処理され、終わることをいいます。
「借金の片が付く」「仕事の片が付く」など、終結したことを述べる場合によく使われます。
「埒が明く」は、結末だけでなく物事がはかどることにも使えます。
決着がつく(けっちゃくがつく)
争い、勝負、交渉などについて、最終的な結果が決まる場合によく使います。
「勝負に決着がつく」「論争に決着がつく」など、対立する立場や競争のある場面になじみやすい表現です。
「埒が明く」の古い用例
1603~1604年に刊行された『日葡辞書』には、「Rachino aita fito(埒の明いた人)」という言葉が掲載され、素直で道理に従う人という意味が示されています。
「Rachiuo aquru(埒を明くる)」も掲載されており、物事をうまく明らかにする意味で説明されています。
17世紀初めには、「埒」がすでに本来の意味を離れ、物事の筋道や処理に関わるたとえとして使われていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「埒が明く」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「埒が明く」「埒」項。
- 土井忠生・森田武・長南実編訳『邦訳日葡辞書』岩波書店、1980年。
