用が足りる
読み方:ようがたりる
「用が足りる」の意味
用件を処理できることや、ある目的のために十分役に立つことをいいます。
「間に合う」という意味でも使われます。
このほか、大便や小便をすませることができるという意味もあります。
「用が足りる」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜で用が足りる」
「〜で」には、目的を果たすのに十分な物、場所、方法などが入ります。「この道具で用が足りる」「近所の店で用が足りる」などの形です。 - 「〜だけで用が足りる」
ほかのものを加えなくても十分な場合に使います。「この一冊だけで用が足りる」「駅前の店だけで用が足りる」などと使います。 - 「これで用が足りる」
手元にある物や、すでに整えた内容で十分だと述べる形です。「買い物はこれで用が足りる」「簡単な作業ならこれで用が足りる」などと使います。 - 「〜では用が足りない」
必要な働きや条件を満たさない場合には、否定形にします。「この大きさでは用が足りない」「一台では用が足りない」などの形です。
「用が足りる」の例文
- 日用品は近所で一通りそろうので、わざわざ遠くの店まで行かなくても用が足りる。
- 本格的な撮影には向かないが、旅行の記録を残す程度なら、この小さなカメラだけで用が足りる。
- 会議の参加者が予想以上に増え、この部屋では用が足りなくなったため、急きょ広い会場へ移ることになった。
「用が足りる」の類似表現
事足りる(ことたりる)
「事足りる」は、必要なものが十分にそろっていて、それだけで間に合うことをいいます。
「これだけあれば事足りる」のように使い、「用が足りる」と意味の重なる部分が大きい表現です。
「用が足りる」は「この道具で用が足りる」「近所の店で用が足りる」のように、特定の目的に役立つ物や場所についても使いやすい言い方です。
間に合う(まにあう)
「間に合う」にも、「役に立つ」「十分である」という意味があり、この言い方をするときには「用が足りる」と言い換えられる場合があります。
ただし、「電車に間に合う」「締め切りに間に合う」のように、決められた時刻や期限に遅れないという意味は「間に合う」に限った言い方です。
「用が足りる」の古い用例
木室卯雲の咄本『鹿の子餅』は1772年(明和9年)刊行の作品です。
作中には「女中がたの用が足り」という言い回しがあり、ここでは大小便をすませることができるという意味で使われています。
式亭三馬の滑稽本『浮世床』初編は1813年(文化10年)に刊行されました。
その中には「用の足りる人」という形が見られ、役に立つ人、用件を処理できる人という意味で使われています。
現在一般的な「用が足りる」ではなく、「用の足りる」という言葉の形である点も特徴です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「用が足りる」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「用が足りる」項。
