風雲急を告げる
読み方:ふううんきゅうをつげる
「風雲急を告げる」の意味
大事件や大きな変動が今にも起こりそうな、切迫した情勢になることをいいます。
政治、戦争、社会情勢など、大きな動きが迫っている場面に適した、やや重々しい表現です。
「風雲急を告げる」の語源・由来
「風雲」はもともと風と雲を指す言葉で、「事の起こりそうな情勢」「大きな社会変動」という意味でも使われるようになりました。
「急」は、切迫した事態や突然の変事を意味します。
「風雲急を告げる」は、風や雲の動きに嵐が起こりそうな気配が現れることから生まれた表現とされています。
空模様が荒れ始める様子を、世の中に大きな変動が迫る情勢にたとえたものです。
「風雲急を告げる」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜は風雲急を告げている」
政局、国際情勢、戦況などを主題にして、緊迫した状態が続いていることを述べる形です。「政局は風雲急を告げている」「国境情勢は風雲急を告げている」などと使います。 - 「風雲急を告げる〜」
後ろに「情勢」「政局」「展開」などの名詞を置く連体形です。「風雲急を告げる国際情勢」「風雲急を告げる展開」などの形です。 - 「〜が風雲急を告げる」
物事の動きや局面そのものを主語にします。「選挙戦が風雲急を告げる」「後継者争いが風雲急を告げる」などと使えます。
「風雲急を告げる」の例文
- 周辺国が相次いで軍を国境へ移動させ、地域の情勢は風雲急を告げている。
- 有力候補の突然の辞任をきっかけに、風雲急を告げる党首選が始まった。
- 決勝進出を左右する終盤戦に入り、首位争いはいよいよ風雲急を告げてきた。
「風雲急を告げる」の類似表現
一触即発(いっしょくそくはつ)
わずかなきっかけで争いや大事件が起こりかねないほど緊張している状態に使います。
「風雲急を告げる」よりも、衝突がすぐに起こりそうな危険性を直接表しやすい言葉です。
きな臭い(きなくさい)
争いや事件が起こりそうな怪しい気配を感じるときに使います。
「政界がきな臭くなってきた」のように使え、「風雲急を告げる」より口語的で、まだ漠然とした不穏さにも使えます。
「風雲急を告げる」の古い用例
木下尚江の小説『火の柱』(1904年)には、「日露両国の間、風雲転た急を告ぐるに連れて」とあります。
「転た」は「うたた」と読み、物事の程度がますます進むことを表します。
ここでは「風雲急を告げる」ではなく、古風な言い回しの「風雲転た急を告ぐる」が使われ、日露両国の関係が次第に切迫していく情勢を述べています。
この時代には、社会・国際情勢について現在につながる使われ方が見られます。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「風雲急を告げる」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「風雲急を告げる」「風雲」項。
- 木下尚江『火の柱』1904年。
