読み方:べそをかく

「べそをかく」の意味

子供などが口元をゆがめ、今にも泣きだしそうな顔になることです。

まだ実際に泣いていない状態にも使えます。

「べそをかく」の語源・由来

「べそ」は、泣きそうになって口をゆがめた顔を指す言葉です。

その語源は一説に、唇に力を入れて口を結ぶ形を表す「圧し口(へしぐち)」の「へし」が変化したものとされています。

「かく」は「掻く」の使い方のひとつで、好ましくないものや状態を表に出す意味があります。

「恥をかく」「汗をかく」などにも使われ、「べそをかく」では泣きそうな表情を顔に現すことを指します。

「べそをかく」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「〜がべそをかく」
    人を主語にして使う基本的な形です。「弟がべそをかく」「負けた子がべそをかいた」などと使います。
  • 「べそをかきながら〜」
    泣きそうな顔のまま別の動作をしていることを表します。「べそをかきながら謝る」「べそをかきながら帰る」などの形です。
  • 「べそをかき始める」
    泣きそうな表情になり始めたことを示します。「叱られてべそをかき始める」「悔しさでべそをかき始めた」などと使います。

子供について使うことが多い表現です。大人について使うと、幼さや弱々しさをからかうような語感を伴うことがあります。

「べそをかく」の例文

  • 人混みで母親を見失った弟は、泣き声を上げる前からべそをかいていた。
  • 試合で大きなミスをした一年生がべそをかき始めたので、先輩がそっと肩をたたいた。
  • 少しくらい叱られたからといってべそをかくようでは、まだ一人で任せるのは難しい。

「べそをかく」の類似表現

べそをつくる(べそをつくる)

「べそをかく」と意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。

「べそをつくる」も、今にも泣きそうな顔になることをいう表現です。

「べそをかく」の古い用例

1703年の俳諧『広原海』には、「女房にさへ恥しき秋の泣面(ベソ)」とあり、「べそ」が泣き顔を指す名詞として使われています。

1769年の雑俳『柳多留』四には、「小侍女郎の中でべそをかき」とあります。

18世紀後半には「べそをかく」という結びつきが使われており、ここでは後ろに言葉が続く『べそをかき』の形になっています。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「べそをかく」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「べそ」「掻く」項。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。