読み方:さいだいもらさず

「細大漏らさず」の意味

「細大漏らさず」とは、細かなことも大きなことも、一つも省かず、すべてにわたることです。

「細大」は細かな事柄と大きな事柄の両方を指します。

内容の大小や重要度にかかわらず、抜けなく扱うことをいう表現です。

「細大漏らさず」の使い方

「細大漏らさず報告する」「細大漏らさず記録する」のように、後ろの動詞を修飾する形で使います。

出来事の経緯、調査した内容、見聞きした事柄などについて、細かな点まで省かず伝えたり記録したりする場面に適しています。

「細大漏らさず」の例文

  • 調査で分かった事実を細大漏らさず報告書に記しました。
  • 目撃者は、その日の出来事を細大漏らさず警察に話しました。
  • 書記は、会議で交わされた議論を細大漏らさず記録していました。

「細大漏らさず」の類似表現

一部始終(いちぶしじゅう)

「一部始終」は、ある出来事の初めから終わりまでの事情全体を指す言葉です。

「事件の一部始終を話す」のように名詞として使うのに対し、「細大漏らさず」は「細大漏らさず報告する」のように、動詞を修飾して使えます。

「細大漏らさず」の古い用例

1870~1871年に刊行された中村正直訳『西国立志編』巻九には、「細大漏らさず、一も怠忽にすることなかりき」という形があります。

明治初期には、現在と同じ「細大漏らさず」という語形がすでに使われていました。

福沢諭吉の『慶応義塾学生諸氏に告ぐ』では、「細大洩らさず」という表記が使われています。

この文章は『時事新報』1886(明治19)年2月2日に発表されたもので、「漏」ではなく「洩」の字が用いられている点が分かります。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「細大漏らさず」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「細大漏らさず」項。
  • 福沢諭吉「慶応義塾学生諸氏に告ぐ」、『時事新報』1886年2月2日。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。