有終の美を飾る
読み方:ゆうしゅうのびをかざる
「有終の美を飾る」の意味
物事を最後までやり通し、立派な成果をあげて締めくくることです。
単に終わりを迎えるのではなく、よい結果や評価を残して終えるという、肯定的な意味を持ちます。
「有終の美を飾る」の語源・由来
「有終」は、中国最古の詩集『詩経』の「大雅・蕩」に見える「靡不有初、鮮克有終」に基づく言葉です。
「初め有らざること靡く、克く終わり有ること鮮し」と読み、何事にも始まりはあるが、最後まで立派にやり遂げられるものは少ない、という趣旨です。
ここから「有終」は、最後まで務めを果たすこと、終わりをまっとうすることをいうようになりました。
「有終の美」は、その終わり方が立派であることを表す日本語の表現です。
「飾る」は、ここでは物を飾り付ける意味ではなく、立派に成し遂げることで華やかさやすばらしさを添えるという意味で使われています。
「有終の美を飾る」の使い方
人の仕事や競技生活だけでなく、チーム、番組、催し、活動など、一定の期間続いたものを立派に終える場合にも使えます。「飾った」と過去形にしたり、「飾って」と後ろの動作につないだりする形も自然です。
次のような型がよく使われます。
- 「〜で有終の美を飾る」
「〜で」には、最後を立派に締めくくるきっかけとなった結果や出来事を入れます。「優勝で有終の美を飾る」「最終公演の成功で有終の美を飾る」などの形です。 - 「〜が有終の美を飾る」
「〜が」には、最後までやり遂げる人や団体、活動などを置きます。「主将が有終の美を飾る」「長寿番組が有終の美を飾る」などと使います。 - 「有終の美を飾って〜」
後ろに、引退や終了など、その後の動作を続ける形です。「有終の美を飾って引退する」「有終の美を飾って幕を閉じる」などと使います。
「有終の美を飾る」の例文
- 長年チームを支えてきた投手は、引退試合を完封勝利で締めくくり、有終の美を飾った。
- 半世紀にわたって活動してきた劇団は、最後の公演を満員の客席で終え、有終の美を飾ってその歴史に幕を下ろした。
- 卒業前の全国大会で念願の優勝を果たし、部員たちは高校生活の最後に有終の美を飾ることができた。
「有終の美を飾る」の類似表現
掉尾を飾る(ちょうびをかざる)
すぐれたもので物事を締めくくることをいい、「有終の美を飾る」と意味の重なる表現です。
「掉尾」には物事の最後という意味があり、「掉尾を飾る」は最後の部分や最後に行われるものが立派であることにも使えます。
「有終の美を飾る」は、最後までやり遂げた人や活動について、その締めくくりを評価する場合によく使われます。
「有終の美を飾る」の古い用例
太宰治の『親友交歓』(1946年)には、「さらに有終の美一点が附加せられた」という表現が使われています。
この例では「有終の美」が名詞として使われており、1940年代には、すでにこの形で文学作品に登場しています。
1963年の源氏鶏太『停年退職』には、「有終の美を飾りたいもんですよ」という形が見られます。
「有終の美」に動詞「飾る」を続ける、現在と同じ形で使われています。
「有終の美を飾る」の間違いやすい使い方・表記
「ゆうしゅう」を「優秀」と考えて、「優秀の美を飾る」と書くのは誤りです。
正しくは「有終の美を飾る」です。「有終」は「終わりをまっとうする」という意味を持つ言葉で、「優秀」とは関係ありません。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「有終の美を飾る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「有終の美」項。
- 円満字二郎編『小学館 故事成語を知る辞典』小学館、2018年、「有終の美」項。
- 『詩経』大雅「蕩」。
- 太宰治「親友交歓」。
