舌鼓を打つ
読み方:したつづみをうつ
「舌鼓を打つ」の意味
おいしいものを食べ、その味を楽しむことです。
文脈によっては、不満や不快を感じて舌打ちする意味でも用いられます。
「舌鼓を打つ」の語源・由来
「舌鼓」は、舌を鳴らして、鼓を打つような音を出すことを表す言葉です。
「舌鼓を打つ」のほか、「舌鼓を鳴らす」「舌鼓を打ち鳴らす」という言い回しもあります。
舌を鳴らす動作は、おいしいものを味わったときの満足を示すものとしても使われ、飲食と結びついた表現になりました。
17世紀初頭の『日葡辞書』にも、「舌鼓」はおいしく味わった際に舌を鳴らすことを指す言葉として記録されています。
「舌鼓を打つ」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に舌鼓を打つ」
「〜」には、料理、食材、味覚など、味わう対象が入ります。「郷土料理に舌鼓を打つ」「旬の魚に舌鼓を打つ」などの形です。 - 「〜で舌鼓を打つ」
助詞「で」の前には、食事をする場所や機会などが入ります。「旅先の食堂で舌鼓を打つ」「宴席で舌鼓を打つ」などと使います。 - 「舌鼓を打ちながら〜」
食事を楽しむのと同時に別の行動をする場合に使えます。「舌鼓を打ちながら談笑する」「舌鼓を打ちながら酒を酌み交わす」などと続けます。
「舌鼓を打つ」の例文
- 港町を訪れた一行は、その日の朝に水揚げされた新鮮な刺身に舌鼓を打った。
- 久しぶりに集まった家族は、祖母の手料理に舌鼓を打ちながら、昔の思い出話に花を咲かせた。
- 秋の収穫祭では、観光客たちが地元で採れたキノコや野菜を使った料理に舌鼓を打っていた。
「舌鼓を打つ」の類似表現
舌鼓を鳴らす(したつづみをならす)
「舌鼓を打つ」と意味・使い方はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「舌鼓を打ち鳴らす」という言い方もあります。
舌なめずり(したなめずり)
舌で唇をなめる動作をいい、おいしいものを欲しがったり、食べ終えたりしたときにも使います。
さらに、獲物や好機を待ち構える様子を例える言葉として使うことがあります。
「舌鼓を打つ」のように、食べ物のおいしさを味わうことだけを表す言葉ではありません。
「舌鼓を打つ」の古い用例
1540年の『誹諧之連歌(飛梅千句)』には「したつつみをやうちならすらん」とあり、「舌鼓を打ち鳴らす」という言い回しが使われています。
この記述では、舌を鳴らして鼓のような音を出すという、動作そのものを指しています。
1633年の俳諧集『犬子集』には、「たんぽぽのあへ物くてや舌つつみ」という句があります。
タンポポのあえ物を食べることと「舌つつみ」が結びついており、17世紀前半には飲食に関する使われ方がされています。
1698年の浮世草子『新色五巻書』には、「憎い奴」と感じて「舌つづみ討つ」という記述があります。
近世には、おいしさという意味とは別に、不満や不快を表して舌を鳴らすという使われ方もされていました。
「舌鼓を打つ」の間違いやすい使い方・表記
「舌鼓」の基本的な読み方は「したつづみ」です。
「鼓」は「つづみ」と読むため、「舌」と「鼓」を組み合わせた形では「したつづみ」となります。
『日葡辞書』にも「シタツヅミ」に当たる言葉が記されています。
近世から、「したづつみ」という読み方も見られています。
「上包み(うわづつみ)」「薦包み(こもづつみ)」などの「〜づつみ」という読み方に引っ張られて生じたと考えられており、現代ではこの読みを認める辞書もあります。
読み方を一つだけ選ぶ場合は「したつづみ」とするのが基本です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「舌鼓を打つ」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「舌鼓」「舌鼓を打つ」項。
