財布の紐を握る
読み方:さいふのひもをにぎる
「財布の紐を握る」の意味
金銭の出し入れを決める権限を持つことです。
単にお金を保管しているという意味ではなく、家計や組織の支出を管理し、何にいくら使うかを決められる立場を指します。
「財布の紐を握る」の語源・由来
昔の財布には紐が付いたものがあり、その紐を使って財布を閉じたり、中身が出ないように巻いたりしていました。
実際に、三ツ巻財布や二ツ折り財布の一部には側面に紐が付いています。
こうした財布の紐を握り、中身の出し入れを左右することから、金銭を管理する権限を持つことのたとえになりました。
「財布の紐を握る」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「人が財布の紐を握る」
金銭を管理する人を主語にする形です。「妻が財布の紐を握る」「経理部長が財布の紐を握っている」などと使います。 - 「〜の財布の紐を握る」
「〜」には、家庭や会社など、管理する金銭の範囲を示す言葉が入ります。「家庭の財布の紐を握る」「会社の財布の紐を握る」などの形です。 - 「〜に財布の紐を握られる」
金銭を管理する権限が別の人や組織にあることを、受け身で表す形です。「妻に財布の紐を握られる」「本部に財布の紐を握られている」などと使います。
「財布の紐を握る」の例文
- わが家では父より母のほうが家計に詳しく、長年、母が財布の紐を握っている。
- 新しい設備を導入したくても、財布の紐を握る本社の了承がなければ予算は使えない。
- 今回の旅行では、無駄遣いを防ぐため、いちばん金銭感覚のしっかりした友人が財布の紐を握ることになった。
「財布の紐を握る」の類似表現
財布を握る(さいふをにぎる)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「財布の紐を握る」から「紐」を省いた簡潔な形です。
財布の尻を押さえる(さいふのしりをおさえる)
「財布の紐を握る」と同じく、金銭の出し入れを管理する権限を持つことをいいます。
辞書でも同義の表現として扱われています。
「財布の紐を握る」の古い用例
小汀利得の『街頭經濟學』は1931年(昭和6年)に刊行された経済書です。
その「結婚經濟學」の章には、家計の管理方法について「主人が一切財布の紐を握つて居つて」という表現が使われています。
「握つて居つて」は現在の「握っていて」に当たる表記です。
1931年には、「財布の紐を握る」が家庭の金銭を管理する意味で使われていました。
「財布の紐を握る」の間違いやすい使い方・表記
「財布の紐を締める」とは意味が異なります。
「財布の紐を握る」は金銭を管理する権限を持つことですが、「財布の紐を締める」は無駄な出費を控えて倹約することです。
「財布の紐が堅い」「財布の紐を緩める」も、お金を使う度合いに関する表現です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「財布の紐を握る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「財布の紐を握る」項。
- 印傳博物館「財布」。
- 神尾篤史「成長戦略の一翼を担う?結婚経済学」大和総研、2014年2月5日。
