財布の紐を締める
読み方:さいふのひもをしめる
「財布の紐を締める」の意味
むだな出費を控え、節約することです。
必要以上にお金を使わないよう、意識して支出を抑えることをいいます。
「財布の紐を締める」の語源・由来
昔の財布には、巾着のように口を紐でくくるものや、財布の側面についた紐を巻いて中身が出ないようにするものがありました。
江戸時代にも、こうした紐のついた袋状の財布が使われています。
財布の紐を締めれば、中の金銭を取り出すには紐をほどかなければなりません。
こうした財布の仕組みを背景に、支出を控えることを「財布の紐を締める」とたとえるようになった表現です。
「財布の紐を締める」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「財布の紐を締める」
節約する人や家庭、消費者などを主語にして使います。「家族で財布の紐を締める」「消費者が財布の紐を締める」などの形です。 - 「〜で/〜を受けて財布の紐を締める」
節約するきっかけや理由を前に置く形です。「物価高で財布の紐を締める」「値上げを受けて財布の紐を締める」などと使います。 - 「財布の紐をしっかり/きつく締める」
「しっかり」「きつく」などを加えると、支出を強く抑える様子を表せます。「今月は財布の紐をしっかり締める」「しばらく財布の紐をきつく締める」などの形です。
「財布の紐を締める」の例文
- 旅行で予想以上にお金を使ったので、今月は財布の紐を締めることにした。
- 食料品や光熱費の値上がりが続き、多くの家庭が財布の紐を締めている。
- 新しいカメラが欲しかったが、住宅の修繕費がかかるため、しばらくは財布の紐をしっかり締めようと思う。
「財布の紐を締める」の類似表現
財布の口を締める(さいふのくちをしめる)
「財布の紐を締める」とほぼ同じ意味で、多くの場面で言い換えられます。
「財布の口を締める」も、金銭を入れる財布の口を閉じることになぞらえた表現です。
財布の紐が堅い(さいふのひもがかたい)
簡単にはお金を使わない様子を表します。
「財布の紐を締める」は自分で支出を抑えるという動作を表しやすいのに対し、「財布の紐が堅い」は「消費者の財布の紐が堅い」のように、金を出し渋る状態や傾向を述べるときにも使われます。
「財布の紐を締める」の古い用例
有吉佐和子『芝桜 下』(1970年)には、「不景気というと財布の紐をしめちゃう」という記述があります。
この時点で、不景気のために支出を控えるという現在と同じ意味で使われており、表記は「締める」ではなく、ひらがなの「しめる」です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「財布の紐を締める」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 国立国語研究所『基本動詞ハンドブック』「締める・閉める・絞める」。
- 日本銀行金融研究所貨幣博物館『お財布のかたちとおしゃれ―江戸・明治期の袋物から―』2010年。
- 「日国友の会」読者カード「さいふのひもをしめる【財布の紐をしめる】」、2008年公開。
