先を争う
読み方:さきをあらそう
「先を争う」の意味
他人より先になろうとして、互いに競い合うことです。
順番や行動の早さで一番になろうとする意味があり、「われ先に」と人々が動く様子を表します。
慌ただしさや勢いを感じさせることはありますが、必ずしも相手を非難する表現ではありません。
「先を争う」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「先を争って〜」
最も一般的な形です。「先を争って」の後ろに、入る、買う、申し込む、逃げるなど、複数の人が競って行う動作を続けます。「客が先を争って店内に入る」「応募者が先を争って申し込む」などと使います。 - 「先を争うように〜」
競い合っているかのような勢いで、一斉に行動する様子を表す形です。「鳥が先を争うように餌へ集まる」「各社が先を争うように新商品を発表する」などと続けます。 - 「先を争う+名詞」
「先を争う」を、人や集団を表す名詞にかける形です。「先を争う客たち」「先を争う参加者」のように、その人々の行動の様子を直接修飾できます。
「先を争う」の例文
- 開店の扉が開くと、客たちは限定商品を手に入れようと先を争って売り場へ向かいました。
- 代表選手の募集が始まると、生徒たちは先を争うように申込書を取りに来ました。
- スタッフは、出口へ急ぐ先を争う観客に、押し合わず順番に進むよう呼びかけました。
「先を争う」の類似表現
我先に(われさきに)
「我先に」は、自分がほかの人より先になろうとする様子を表す言葉で、「我先に逃げる」「我先にと駆け寄る」など、あとに続く動作(動詞)を説明する形で使うのが基本です。
「先を争って」と多くの場面で言い換えられますが、「我先に」は一人一人が「自分こそ先に」と行動する気持ちが表面に出やすい表現です。
競う(きそう)
「競う」は、互いに負けないように張り合うことを広く表します。
速さだけでなく、「技を競う」「記録を競う」のように技量や成績なども対象にできます。
「先を争う」は、だれが先になるか、だれが早く行動するかという先と後の競争を表す場合に適しています。
「先を争う」の古い用例
「先を争う」は古くから使われてきた表現です。
室町時代の『伊京集』に記述があるとされ、井原西鶴の浮世草子『日本永代蔵』(1688年)にも「米さしの先をあらそひ」という記述があります。
「あらそひ」は、「あらそう」が「あらそい」に変わった形を、昔の言い方で記したものです。
少なくとも17世紀後半には、現在の「先を争う」につながる言い回しが使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「先を争う」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「先を争う」項。
