大きな口をきく
読み方:おおきなくちをきく
「大きな口をきく」の意味
身のほどや立場をわきまえず、偉そうなことを言うことです。
自分の実力以上のことを言ったり、相手に対して尊大な物言いをしたりする態度を批判するときに使われます。
「大きな口をきく」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に大きな口をきく」
助詞「に」で、偉そうな物言いを向ける相手を示します。「先輩に大きな口をきく」「親に大きな口をきく」などの形です。 - 「大きな口をきいた」
過去の発言を振り返る形で、「あれだけ大きな口をきいた」「試合前に大きな口をきいた」などと使います。 - 「大きな口をきくな」
相手の尊大な発言をたしなめる命令・禁止の形です。「実績もないのに大きな口をきくな」「先輩に大きな口をきくな」などと使います。 - 「大きな口がきける」
可能形では「を」が「が」になり、「よくそんな大きな口がきけるな」「今になって大きな口がきけるのか」などの形も使われます。
「大きな口をきく」の例文
- 入社したばかりの彼が「この仕事なら誰よりもうまくできます」と大きな口をきいたので、先輩たちは驚いた。
- 「今度こそ全国大会で優勝する」と大きな口をきいた以上、練習を途中で投げ出すわけにはいかない。
- 自分も同じ失敗をしているのに、よく後輩にそんな大きな口がきけるものだ。
「大きな口をきく」の類似表現
大口を叩く(おおぐちをたたく)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「大口を叩く」は、大げさなことや自信満々の発言そのものを問題にするときに使いやすい表現です。
「大きな口をきく」は、相手に対する偉そうな態度をとがめる場合にもよく使われます。
大風呂敷を広げる(おおぶろしきをひろげる)
現実の状況に釣り合わない大げさな話をしたり、大きすぎる計画を語ったりする表現です。
「大きな口をきく」が話し手の尊大な態度にも向けられるのに対し、「大風呂敷を広げる」は話や計画の規模・現実性に重点があります。
「大きな口をきく」の古い用例
1930年(昭和5年)6月27日付の『神戸又新日報』には、「正副議長に、出発前大きな口をきいた海相は批准後に辞職か」という記事の見出しが残っています。
「大きな口をきいた」という現在と同じ言い回しとたとえ方が、昭和初期にはすでに使われていた例です。
「大きな口をきく」の間違いやすい使い方・表記
「きく」は、漢字では「利く」と書くことができます。
「口を利く」の「利く」には「言葉を発する、ものを言う」という意味があり、「大きな口を利く」という表記も使われます。
ここでの「きく」は、薬などに効果があるという意味の「効く」ではありません。
「口を利く」には、人の間に入って話をまとめる「仲介する」という別の意味もありますが、「大きな口をきく」では「ものを言う」という意味で使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「大きな口をきく」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 『神戸又新日報』「正副議長に、出発前大きな口をきいた海相は批准後に辞職か―条約案枢府諮詢が遅れるわけ」、1930年6月27日、神戸大学経済経営研究所新聞記事文庫所収。
