顔が立つ
読み方:かおがたつ
「顔が立つ」の意味
世間や周囲に対して、その人の面目や名誉が保たれることです。
立場にふさわしい結果になり、他人に対して恥ずかしい思いをせずに済むという含みがあります。
「顔が立つ」の語源・由来
「顔」は、目や鼻のある身体の一部だけでなく、社会に対する体面や名誉という意味でも使われます。
「立つ」には、面目などが損なわれずに保たれるという意味があり、「顔が立つ」は、この二つの意味が結びついた表現です。
「顔が立つ」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「(人)の顔が立つ」
「顔」の持ち主を「の」で示す基本的な形です。「部長の顔が立つ」「推薦者の顔が立つ」などと使います。 - 「〜しなければ顔が立たない」
必要なことを果たさないと面目を保てない場合によく使われます。「ここで勝たなければ顔が立たない」「約束を果たさなければ顔が立たない」などの形です。 - 「顔が立つように〜」
ある人の立場や面目が保たれるよう配慮する場合に使います。「上司の顔が立つように話をまとめる」「紹介者の顔が立つように配慮する」などと続けます。
「顔が立つ」の例文
- 推薦した若手社員が大きな成果を上げたので、彼を責任者に選んだ部長の顔が立った。
- ここまで多くの人に協力してもらった以上、発表会を中途半端な形で終わらせては、実行委員長として顔が立たない。
- 紹介してくれた友人の顔が立つように、断る場合でも失礼のない返事をすることにした。
「顔が立つ」の類似表現
顔を立てる(かおをたてる)
「顔が立つ」が面目の保たれた状態を表すのに対し、「顔を立てる」は、誰かの面目が保たれるように取り計らう行為を表します。
「先輩の顔を立てる」のように、立場を守ってもらう人を「を」で示します。
面目が立つ(めんぼくがたつ)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「面目が立つ」のほうがやや改まった響きがあり、「顔が立つ」は「上司の顔」「紹介者の顔」など、特定の人の立場を意識した言い方として使いやすい表現です。
「顔が立つ」の古い用例
浄瑠璃『夏祭浪花鑑』には、1745年の用例として「此顔が立ぬか」という記述が残っています。
現在の表記に近づければ「この顔が立たぬか」です。
否定形で用いられており、この時代にはすでに「面目が保たれる」という現在につながる言い回しが見られます。
『夏祭浪花鑑』は並木千柳・三好松洛・竹田小出雲の合作で、延享2年(1745)に大坂竹本座で初演されました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「顔が立つ」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「顔が立つ」「顔」「立つ」「頤を養う」各項。
- 松村明監修『デジタル大辞泉』小学館、「顔が立つ」「顔」「顔を立てる」各項。
- 独立行政法人日本芸術文化振興会「夏祭浪花鑑」文化デジタルライブラリー。
