読み方:あいそがつきる

「愛想が尽きる」の意味

「愛想が尽きる」とは、相手への好意や愛情、信頼がすっかりなくなり、もう好ましく思えなくなることです。

相手の言動などにあきれ、気持ちが離れてしまったときに使います。

単に腹を立てることよりも、相手に対して持っていた良い感情そのものが失われるという強い意味を持ちます。

「愛想が尽きる」の語源・由来

ここでの「愛想」は、笑顔や人当たりのよさではなく、他人に対する親しみの気持ちや好意という意味です。

「尽きる」は、続いていたものが終わり、残らなくなることをいいます。

古くから、この二つを組み合わせて、人への好意がなくなることを「愛想が尽きる」と表してきました。

「愛想」には「あいそ」と「あいそう」の読みがあり、「愛想が尽きる」にも古くは「あいそうが尽きる」という形が見られます。

現在は「あいそがつきる」が一般的です。

「愛想が尽きる」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「〜に愛想が尽きる・尽きた」
    好意を失う相手や、そのきっかけとなった態度・行動などを「に」で示します。「彼の無責任さに愛想が尽きた」「同じ言い訳の繰り返しに愛想が尽きる」などの形です。
  • 「〜には愛想が尽きた」
    「は」を加えると、愛想が尽きた対象を取り立てて示せます。「あの上司には愛想が尽きた」「口先だけの約束には愛想が尽きた」などと使います。
  • 「愛想が尽きて〜」
    好意を失ったあとに取った行動を続けて述べる形です。「愛想が尽きて距離を置いた」「愛想が尽きて店を変えた」などと続けます。

「愛想が尽きる」の例文

  • 何度注意しても約束を破る友人に、とうとう愛想が尽きた
  • 同じ不祥事を繰り返す会社に利用者が愛想が尽きて、別のサービスへ移るようになった。
  • 試合中に仲間を責め続ける彼の態度には、監督も愛想が尽きたようだった。

「愛想が尽きる」の類似表現

愛想を尽かす(あいそをつかす)

意味は「愛想が尽きる」とほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。

文法上は、「愛想が尽きる」では「愛想」が主語になるのに対し、「愛想を尽かす」では人が「愛想」を失う形になります。

「彼には愛想が尽きた」「彼に愛想を尽かした」のように使います。

「愛想を尽かされる」と受け身にして、「彼は妻に愛想を尽かされた」のように、相手から見限られた側を主語にすることもできます。

見限る(みかぎる)

「見限る」は、これ以上は見込みがないと判断して、あきらめたり見切りをつけたりすることです。

「愛想が尽きる」は好意や信頼が失われる気持ちを強く含みますが、「見限る」は「この人にはもう期待できない」「この計画は成功しそうにない」といった判断にも使えます。

「愛想が尽きる」の古い用例

室町中期ごろに成立した『義経記』巻六には、

「義経があいそうもつきて思召されんずる」

という用例があります。

「愛想」を「あいそう」と読む形で、すでに人に対する気持ちが失われる意味に使われていました。

1754年の談義本『八景聞取法問』には、

「ぐっとあいそが尽ると俄に不機嫌に成て」

とあります。

ここでは現在と同じ「あいそ」の形が使われています。

室町時代の「あいそう」と、江戸時代の「あいそ」の両方が文献に残っています。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「愛想が尽きる」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「愛想が尽きる」「愛想」項。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。