赤の他人|意味・使い方・例文
読み方: あかのたにん
意味: 縁もゆかりもなく、自分と何の関わりもない人。
「赤の他人」の意味
「他人」をさらに強め、血縁、婚姻、交友、仕事などのつながりがまったくない人を指します。単に家族ではない人というだけでなく、「自分とは完全に無関係である」とはっきり示す表現です。
必ずしも、一度も会ったことがない人に限りません。以前は夫婦や知人だった相手でも、関係が完全に切れたことを強調して、「今では赤の他人だ」と表現できます。
「赤の他人」の使い方
二人の関係を述べる場合は、「彼とは赤の他人だ」「二人は赤の他人だ」のように使います。「と」は、誰と誰に関係がないのかを示す助詞です。
関わりのない相手に対する行動を述べるときは、「赤の他人に秘密を話す」「赤の他人から助けられる」のように、「に」「から」などの助詞が続きます。
このほか、「赤の他人同士」「赤の他人になる」「赤の他人として扱う」「赤の他人のように振る舞う」といった形も使われます。本人に向かって「あなたとは赤の他人だ」と言うと、相手との関係を強く拒む、冷たい響きになります。
「赤の他人」の例文
- その男性とは赤の他人で、名前も今日初めて知りました。
- 離婚してから二人は一度も連絡を取らず、今では赤の他人です。
- 赤の他人に、家庭の事情を詳しく話す必要はありません。
「赤の他人」の類似表現
見ず知らずの人
「見ず知らずの人」は、これまで会ったことがなく、名前や素性も知らない人を指します。
一方、「赤の他人」は、面識の有無よりも、現在のつながりがまったくないことに重点があります。以前は関係があった相手についても、「今では赤の他人」と言えます。
他人
「他人」は、自分以外の人や、家族・身内ではない人などを広く指す言葉です。文脈によっては、知人や友人も「他人」に含まれます。
「赤の他人」は、その中でも特につながりのない人に限られます。「赤」が加わることで、「まったく関係がない」という意味が強まります。
「赤」は何を表している?
「赤の他人」の「赤」は、色を表しているのではありません。「明白な」「まったくの」という意味を添え、後ろの言葉を強めています。したがって、「赤の他人」は「まったくの他人」という意味になります。
「赤恥」などに含まれる「赤」にも、同じように意味を強める働きがあります。
「赤の他人」の古い用例
「あかのたにん」という形は、1702年に初演された浄瑠璃『道中評判敵討』に見られます。夫婦の縁を切れば「あかのたにんになった」と述べる場面で使われており、かつて関係のあった相手との縁が切れた状態を表しています。
国木田独歩が1906年に発表した「号外」には、「通りがかりの赤の他人」「赤の他人どうしの往来」という表現があります。街を行き交う、互いに何の関係もない人々を指した用例です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「赤の他人」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「赤の他人」項。
- 国木田独歩「号外」『号外・少年の悲哀 他六編』岩波書店、1939年。