阿吽の呼吸|意味・使い方・例文
読み方: あうんのこきゅう
意味: 二人以上で物事を行うとき、互いの気持ちや調子、タイミングがぴったり合うこと。
「阿吽の呼吸」の意味
「阿吽の呼吸」は、相手と細かく言葉を交わさなくても、次の動きや考えを察し、息の合った行動ができる様子を表します。
ただ仲がよいというだけでなく、複数の人が一緒に物事を進める際の連携や間合いに重点が置かれた表現です。長年組んでいる仕事仲間や夫婦、スポーツのペアなど、互いの行動をよく理解している関係に使われます。
「阿吽の呼吸」の使い方
「二人は阿吽の呼吸だ」のように関係を説明するほか、「阿吽の呼吸で作業する」「阿吽の呼吸で演奏する」のように、動作の進め方を表す形でも使われます。
息の合った連携が実際の行動に現れた場面では、「阿吽の呼吸を見せる」という形も用いられます。相手との関係を示す場合には、「長年の相棒との阿吽の呼吸」のように「との」と結び付けることもできます。
一人の技量を表す言葉ではなく、二人以上の間に生まれる気持ちやタイミングの一致を表すのが基本です。スポーツ、舞台、仕事など、言葉だけでは細かく指示しにくい場面によく合います。
「阿吽の呼吸」の例文
- 長年コンビを組んできた二人は、合図を交わさなくても阿吽の呼吸で舞台を進めました。
- 緊急の連絡が入ると、職員たちは阿吽の呼吸で必要な準備を始めました。
- 二人の選手が阿吽の呼吸を見せ、難しい打球を見事に処理しました。
「阿吽の呼吸」の類似表現
息が合う(いきがあう)
「息が合う」は、「阿吽の呼吸」とほぼ同じく、互いの調子や気持ちがよく合うことを表します。日常会話では「二人は息が合っている」のように、より広く使える表現です。
「阿吽の呼吸」は、細かな打ち合わせをしなくても自然に動きが一致するような、絶妙な連携を強く印象づけます。
以心伝心(いしんでんしん)
「以心伝心」は、言葉や文字を使わなくても、考えや気持ちが心から心へ伝わることに重点があります。
「阿吽の呼吸」は気持ちが通じるだけでなく、作業や演技などの行動やタイミングまで合っている場面に向いています。
「阿吽」とはどのような意味?
「阿吽」は、サンスクリット語の「a」と「hūṃ」を漢字で写した言葉です。「阿」は口を開いて発する音、「吽」は口を閉じて発する音で、密教では万物の始まりと終わりを象徴します。
また、「阿」は吐く息、「吽」は吸う息を表すとされ、二つを合わせて呼吸の出入りを意味します。寺院の仁王像や神社の狛犬に、口を開いた阿形と、口を閉じた吽形が一対で置かれているのも、この「阿吽」を表したものです。
「阿吽の呼吸」の語源・成り立ち
「阿吽」が吐く息と吸う息を表すことから、互いに呼吸を合わせることを「阿吽の呼吸」というようになりました。
もともとは、相撲の立ち合いなどで、相手と呼吸や間合いを合わせることを表す言葉として使われていました。そこから意味が広がり、現在では、二人以上の気持ちや行動が自然に一致することを表します。
「阿吽の呼吸」の古い用例
江戸時代前期の『光明真言観誦要門』(1683年)には、「相撲の仕切に、阿吽の呼吸を合はす」という用例が見られます。
この時代にはすでに、相撲の仕切りで両者の呼吸や立ち上がる間合いを合わせる表現として使われていました。
江戸時代後期の読本『桜姫全伝曙草紙』(1805年)にも「阿吽の呼吸」の用例があり、呼吸の動きに合わせて行動する場面で用いられています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「阿吽の呼吸」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「阿吽の呼吸」「阿吽」項。
- 木村宣彰「阿吽」大谷大学「生活の中の仏教用語」。