後ろ指を指される
読み方:うしろゆびをさされる
「後ろ指を指される」の意味
本人の知らないところで悪口を言われたり、非難・嘲笑されたりすることです。
人柄や行動を好ましくないものとして周囲から批判される、否定的な意味を持ちます。
「後ろ指を指される」の語源・由来
「後ろ指を指される」は、「後ろ指を指す」を受け身にした表現です。
「指を差す」には、指で人や物を示す意味のほか、人をあざけったり、陰で悪口を言ったりする古い使われ方があります。
この非難・嘲りを表す「指」に「後ろ」が付くことで、本人の目の届かないところでする非難を表す「後ろ指」という言葉が生まれ、「後ろ指を指す」「後ろ指を指される」という言い方につながりました。
「後ろ指を指される」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「人・世間に後ろ指を指される」
非難する側を助詞「に」で示します。「周囲の人に後ろ指を指される」「世間に後ろ指を指される」などの形です。 - 「後ろ指を指されるような+名詞」
「行い」「こと」「まね」など、批判の原因となる行為を表す名詞につなげます。「後ろ指を指されるような行い」「後ろ指を指されるようなこと」などと使います。 - 「後ろ指を指されないように〜」
非難されることを避けようとする態度や行動を述べる形です。「後ろ指を指されないように振る舞う」「後ろ指を指されないように正直に生きる」などと続けます。
「後ろ指を指される」の例文
- どれほど生活が苦しくても、不正に手を染めて人から後ろ指を指されることだけは避けたい。
- 地域の人に後ろ指を指されるような商売はするなと、祖父は昔から家族に言い聞かせていた。
- 根拠のない噂が広まったせいで、彼女はしばらく周囲から後ろ指を指されて暮らすことになった。
「後ろ指を指される」の類似表現
陰口をたたかれる(かげぐちをたたかれる)
「陰口をたたかれる」は、本人のいないところで悪口を言われることを直接表します。
「後ろ指を指される」は言葉による悪口だけでなく、行動や評判について周囲から非難・嘲りを受ける場合にも使えます。
白い目で見られる(しろいめでみられる)
「白い目で見られる」は、冷淡な目や軽蔑した態度を向けられることを表します。
本人の前で示される態度にも使えるため、本人の知らないところでの非難という含みを持ちやすい「後ろ指を指される」とは使われる場面が異なります。
「後ろ指を指される」の古い用例
『義経記』(室町時代中期ごろ)には、「うしろゆびをさされば、家の傷なるべし」という表現が見られます。
「さされば」という受け身の言い回しが使われており、周囲から嘲られることを不名誉とする、現在の慣用句に近い言い方です。
二葉亭四迷の『平凡』(1908年刊)には、「一生人に後指を差されるような過失はなかった」とあります。
「後指」「差される」という表記で、現在の「後ろ指を指されるような+名詞」に当たる形が使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「後ろ指を指される」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「後ろ指」「後ろ指を指す」「指を差す」項。
- 二葉亭四迷『平凡』、青空文庫。
- 国立国会図書館『平凡』書誌情報。
