行き当たりばったり
読み方:いきあたりばったり(ゆきあたりばったりとも)
「行き当たりばったり」の意味
前もって十分な計画を立てず、その場その場の成り行きに任せて物事を進めることです。
名詞としても形容動詞としても使われます。
仕事や政策などについて使う場合は、計画性がないという批判的な響きを伴いやすい言葉で、「行き当たりばったりの旅」のように、予定に縛られない気ままさを楽しむ文脈では、必ずしも悪い意味にはなりません。
「行き当たりばったり」の語源・由来
「行き当たり」には、進んで行って突き当たることのほか、古くは前後を十分に考えずに物事をする意味もありました。
この後者の使い方は近世の資料にも見られ、「行き当たりばったり」の現在の意味につながっています。
「ばったり」は、物が急に倒れるさま、思いがけない場所で人と出会うさまなどを表す言葉ですが、「行き当たりばったり」という一語の中で「ばったり」がどの言葉の意味から結び付いたのかについては、細かな成立過程までを断定できません。
「行き当たりばったり」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「行き当たりばったりの+名詞」
名詞として後ろの物事を修飾する形です。「行き当たりばったりの旅」「行き当たりばったりの計画」などと使います。 - 「行き当たりばったりな+名詞」
形容動詞として名詞を修飾します。「行き当たりばったりな施策」「行き当たりばったりな対応」などの形です。「の」と「な」のどちらを用いる形もあります。 - 「行き当たりばったりに+動詞」
物事を進める方法や態度を示します。「行き当たりばったりに予定を変える」「行き当たりばったりに答える」などと使います。 - 「行き当たりばったりで+動詞」「〜が行き当たりばったりだ」
状態を示してから動作を続けたり、述語として評価したりする形です。「行き当たりばったりで宿を決める」「進め方が行き当たりばったりだ」などと使います。
「行き当たりばったり」の例文
- 宿も目的地も決めず、今回は行き当たりばったりの旅を楽しむことにした。
- 担当者が思いつくたびに方針を変えるので、プロジェクトの進め方が行き当たりばったりになっている。
- 発表の準備をする時間が足りず、予想外の質問には行き当たりばったりに答えるしかなかった。
「行き当たりばったり」の類似表現
場当たり(ばあたり)
「場当たり」は、深い考えや計画を持たず、その時々の都合や目先の効果に合わせて行動することです。
「場当たり的な政策」「場当たりな対応」のように使われ、目先だけを見た対応だという批判が「行き当たりばったり」より前面に出やすい表現です。
無計画(むけいかく)
「無計画」は、計画や見通しがないこと自体を広く表せます。
「無計画な開発」「無計画に金を使う」など、成り行きに応じて次々と行動するという意味を含まない場合にも使えます。
「行き当たりばったり」は、その時になってから次の行動を決めていく様子まで表しやすい言葉です。
「行き当たりばったり」の古い用例
『精選版 日本国語大辞典』には、1695年の浮世草子『好色酒呑童子』から「只物ごと行あたり八打、手をうちて後堅固也」という記述が挙げられています。
「八打」は「ばったり」に当てた書き表し方で、この時代にはすでに、物事をあらかじめ決めず、その場その場で処理するという現在につながる意味で「行あたりばったり」が使われていました。
1797年の『諺苑』には「いきあたりばったり」の言い回しが記録されています。
「ゆきあたりばったり」だけでなく、「いきあたりばったり」という読み方にも江戸時代から用例があります。
宇野浩二の『蔵の中』(1918~1919年)には、「ゆきあたりばったりの女」という記述があります。
ここでは計画性のなさではなく、人や場所に偶然行き当たる意味で使われており、現在中心となっている意味とは異なる使われ方も存在したことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「行き当たりばったり」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「行き当たりばったり」「行当」「ばったり」「場当」「無計画」項。
