持ちつ持たれつ
読み方:もちつもたれつ
「持ちつ持たれつ」の意味
互いに助けたり助けられたりしながら、支え合っているさまをいいます。
一方だけが助ける関係ではなく、双方がそれぞれ相手の力になって成り立っている関係を指します。
「持ちつ持たれつ」の語源・由来
「持ちつ持たれつ」は、「持つ」と、その受け身である「持たれる」を「〜つ〜つ」の形で組み合わせた表現です。
ここで使われる「つ」は、古語の完了の助動詞「つ」に由来します。
「〜つ〜つ」と重ねると、二つの動作が並んで行われたり、交互に繰り返されたりすることを表します。
「行きつ戻りつ」「追いつ追われつ」などにも残る形です。
「持ちつ持たれつ」では、能動形の「持ち」と受け身の「持たれ」が対になり、助ける側と助けられる側が互いに入れ替わる関係を表す慣用的な言い方になっています。
「持ちつ持たれつ」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜とは持ちつ持たれつだ」
助け合う相手を「〜とは」で示す形です。「取引先とは持ちつ持たれつだ」「近所の人とは持ちつ持たれつだ」などと使います。 - 「持ちつ持たれつの〜」
「関係」「間柄」などの名詞を後ろに続けます。「持ちつ持たれつの関係」「持ちつ持たれつの間柄」などの形です。 - 「〜は持ちつ持たれつだ」
二人や二つの組織などを主語にして、その関係を述べます。「私たちは持ちつ持たれつだ」「この二社は持ちつ持たれつだ」などと使います。 - 「持ちつ持たれつで〜」
後ろに、関係が続いている様子や、その関係によって成り立った事柄を続ける形です。「持ちつ持たれつでやってきた」「持ちつ持たれつで暮らしている」などと使います。
「持ちつ持たれつ」の例文
- 子育てで手が回らないときには隣家に助けてもらい、相手が忙しいときはこちらが手伝うという、持ちつ持たれつの付き合いが続いています。
- 地元の農家と飲食店は持ちつ持たれつで、農家は安定した販売先を得て、店は新鮮な食材を仕入れています。
- 若いころから苦しい時期を何度も一緒に乗り越えてきた二人は、今でも持ちつ持たれつの間柄です。
「持ちつ持たれつ」の類似表現
相身互い(あいみたがい)
同じような立場や境遇にある人どうしが、互いに思いやって助け合うことをいいます。
「持ちつ持たれつ」は、同じ境遇でなくても、友人、夫婦、企業など幅広い関係に対して使えます。
共存共栄(きょうそんきょうえい)
互いに協力しながら、ともに存続し発展していくことをいう四字熟語です。
企業、地域、国家などについて使いやすく、日常的な人間関係には「持ちつ持たれつ」のほうがしっくりきます。
「持ちつ持たれつ」の古い用例
木下尚江の小説『良人の自白』続篇には、「お互に親子兄弟の気になって、持ちつ持たれつして遣る」という記述があります。
同作の続篇は1906年に刊行されました。
「持ちつ持たれつして」という形で使われており、明治時代末期には、互いに支え合うことを表す現在とほぼ同じ使われ方が見られます。
1930年の下村千秋『天国の記録』にも「持ちつ持たれつ」という言い回しが使われています。
20世紀前半には、現在と同じ形が広く文章に現れていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「持ちつ持たれつ」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「持つ持たれつ」「つ」項。
- 北村孝一編『小学館 ことわざを知る辞典』小学館、2018年、「持ちつ持たれつ」項。
