気炎を上げる
読み方:きえんをあげる
「気炎を上げる」の意味
「気炎を上げる」とは、勢いのよいことを言ったり、意気盛んに議論したりすることです。
自分の考えや意気込みを熱っぽく語る様子に使います。
発言の内容そのものよりも、話す人の威勢や勢いに目を向けた表現です。
「気炎を上げる」の語源・由来
「気炎」は、炎が燃え上がるように盛んな意気や、勢いのある議論をたとえた言葉です。
「気焔」とも書かれ、現在の「気炎」は「気焔」を書き換えた表記です。
燃え上がる炎を、人の盛んな意気や発言の勢いに重ねた比喩が「気炎を上げる」という表現のもとになっています。
「気炎を上げる」の使い方
「酒を飲んで気炎を上げる」「会議で新しい構想について気炎を上げる」のように、ある人が勢いよく話したり、熱を込めて議論したりする場面で使います。
「気炎を上げて語る」「大いに気炎を上げる」といった形にもできます。
「気炎を上げる」の例文
- 同窓会では昔の仲間が集まり、学生時代の思い出について気炎を上げた。
- 部長は新しい企画の成功に自信を見せ、会議で大いに気炎を上げていた。
- 応援しているチームが決勝に進み、父は「今年こそ優勝だ」と気炎を上げた。
「気炎を上げる」の類似表現
気炎を吐く(きえんをはく)
「気炎を上げる」と意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「酒を飲んで気炎を上げる」は「酒を飲んで気炎を吐く」とすることもできます。
「気炎を吐く」は「吐く」という動詞を使い、盛んな意気を言葉として外へ出す形になっています。
おだを上げる(おだをあげる)
「おだを上げる」は、得意になって勝手なことを言うという意味です。
「仲間が集まっておだを上げる」のように使われ、「気炎を上げる」よりも、調子に乗って好きなことを話す様子を表しやすい言葉です。
「気炎を上げる」の古い用例
「気炎」の古い表記である「気焔」は、室町時代の文献にも現れます。
1413年ごろの『懶室漫稿』には「其気焔威稜」という用例があり、「気焔」という語そのものは「気炎を上げる」という形が定着するより前から使われていました。
「気焔を揚げる」の形は、夏目漱石『吾輩は猫である』に見えます。
1905~1906年に発表された同作の第三話には、
「細君は大に気焔を揚げる」
とあります。
現在一般的な「気炎」ではなく「気焔」、「上げる」ではなく「揚げる」と表記されています。
「気炎を上げる」の間違いやすい表記
「気炎を上げる」は、「気炎を揚げる」とも書きます。
どちらの表記も使われます。
また、「気炎」には「気焔」という表記もあります。
「焔」は「炎」と同じく「ほのお」を意味する字で、古い文学作品では「気焔を揚げる」「気焔をあげる」といった形も使われています。
現在は「気炎」の表記が一般的です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「気炎を上げる」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「気炎」「気炎を揚げる」項。
- 夏目漱石『吾輩は猫である』1905~1906年。
