相槌を打つ
読み方:あいづちをうつ
「相槌を打つ」の意味
「相槌を打つ」とは、相手の話に調子を合わせて、うなずいたり短い言葉を返したりすることです。
「はい」「なるほど」「そうですね」などと言葉で応じる場合だけでなく、うなずいて話を聞いていることを示す場合にも使えます。必ずしも相手の意見に賛成することを意味するわけではなく、話を聞きながら応答することも含みます。
「相槌を打つ」の語源・由来
「相槌」は、もともと鍛冶の仕事で使われた言葉です。
鍛冶では、師が槌を打つのに合わせて、弟子も槌を入れて鉄を鍛えます。このように、相手と呼吸を合わせて槌を打つことを「相槌」といいました。
そこから、相手に調子を合わせて受け答えをすることにも「相槌」という言葉が使われるようになり、「相槌を打つ」という表現につながりました。
「相槌を打つ」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に相槌を打つ」
「話」「説明」「発言」など、受け答えをする対象を助詞「に」で示します。「友人の話に相槌を打つ」「上司の説明に相槌を打つ」などと使えます。 - 「相槌を打ちながら〜」
相手の話を聞く動作と、別の動作が同時に続いている場合に使います。「相槌を打ちながら聞く」などの形です。 - 「相槌を打って〜」
「相槌を打って話を促す」「相槌を打って聞き続ける」など、相槌を打ったあとの行動につなげる形です。 - 「相槌を打たずに〜」
否定形では、話を聞いていても反応を示さない様子を表せます。「相槌を打たずに黙って聞く」などと使います。
「相槌を打つ」の例文
- 彼は友人の相談に何度も相槌を打ちながら、最後まで黙って話を聞いた。
- 先生の説明に生徒たちが相槌を打つと、教室の雰囲気も少し和らいだ。
- 父は相槌を打たずに聞いていたので、話が伝わっているのか少し不安になった。
「相槌を打つ」の類似表現
合いの手を入れる(あいのてをいれる)
「合いの手を入れる」は、相手の話の途中に短い言葉を差しはさむ場合にも使われますが、歌や踊りなどの間に声や動作を入れる意味もあります。
「相槌を打つ」は、話し手に合わせて受け答えをすることが中心で、うなずくだけの場合にも使えます。
「相槌を打つ」の間違いやすい使い方・表記
「相槌を入れる」ではなく「相槌を打つ」
「合いの手を入れる」と混同して、「相槌を入れる」とすることがありますが、慣用的な形は「相槌を打つ」です。
「相槌」はもともと槌を打つ鍛冶の作業に関係する言葉なので、「打つ」という動詞と結びつきます。
「相槌を打つ」の古い用例
「相槌」という語そのものは古く、鎌倉時代の『塵袋』(1264~1288年頃)には、鍛冶が二人で向かい合って槌を打つことを説明した用例が残っています。この段階では、鍛冶の作業を指す文字どおりの意味です。
「相槌を打つ」の形では、17世紀前期の『毛詩抄』に「あいづちを打」という用例があり、すでに人の話に調子を合わせる意味で使われています。鍛冶に関する「相槌」から、会話上の受け答えを指す表現へ意味が広がっていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「相槌を打つ」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「相槌」「相槌を打つ」項。
