釘を打つ
読み方:くぎをうつ
「釘を打つ」の意味
相手が約束を破ったり言い逃れをしたりしないように、あらかじめ念を押すことです。
相手がしそうな行動を見越して、強く注意しておく意味でも使われます。
「釘を打つ」の語源・由来
釘を打ちつけて物をしっかり固定することから生まれた表現です。
動かないように釘で留めることが、約束や言葉を動かせないように念を押すことのたとえになりました。
同じたとえを使った「釘を刺す」も古くからあり、「釘を打つ」とほぼ同じ意味で用いられています。
「釘を打つ」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜と釘を打つ」
相手に守らせたい内容や、してほしくないことを「と」の前に置きます。「絶対に口外するなと釘を打つ」「勝手に決めるなと釘を打つ」などの形です。 - 「〜ように釘を打つ」
相手に求める行動を「〜ように」で示します。「時間を守るように釘を打つ」「忘れないように釘を打つ」などと使います。 - 「〜に釘を打つ」
念を押す相手を助詞「に」で示す形です。「部下に釘を打つ」「担当者に釘を打っておく」などと使います。
「釘を打つ」の例文
- 旅行の計画を友人に話す前に、まだほかの人には知らせないよう釘を打っておいた。
- 同じ失敗を繰り返さないよう、監督は選手たちに厳しく釘を打った。
- 母から「帰りが遅くなるなら必ず連絡すること」と釘を打たれたので、駅に着いてすぐ電話した。
「釘を打つ」の類似表現
釘を刺す(くぎをさす)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「他言しないよう釘を刺す」「約束を守るよう釘を刺す」のように、相手へ前もって注意する形で使われます。
念を押す(ねんをおす)
「念を押す」は、間違いや行き違いがないよう、もう一度確かめたり言い聞かせたりする場合にも広く使えます。
「釘を打つ」は、相手の約束違反や好ましくない行動を防ぐため、強めに言い聞かせる場合によく合います。
「釘を打つ」の古い用例
山東京伝の読本『双蝶記』(1813年)には、「釘打つ詞」という表現があります。
相手に対し厳しい言葉を向けたため、相手が返答に詰まる場面で使われています。
19世紀初めには、「釘を打つ」が実際の釘を打つ動作ではなく、言葉によって相手に念を押すたとえとして用いられていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「釘を打つ」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「釘を打つ」項。
