呂律が回らない
読み方:ろれつがまわらない
「呂律が回らない」の意味
舌がうまく動かず、言葉をはっきり発音できないことをいいます。
特に酒に酔って発音が不明瞭になった状態についてよく使われます。
「呂律が回らない」の語源・由来
「呂律(ろれつ)」は、もともと音楽用語の「呂律(りょりつ)」から変化した言葉です。
「呂」と「律」は音階や調子に関わる語で、「呂律」は音の調子や旋律を指しました。
雅楽でも音階は「呂」と「律」に分けられています。
「りょりつ」が「ろれつ」と音を変え、「ものを言うときの調子」という意味で使われるようになりました。
「回る」は「舌が回る」などと同じく、口や舌が十分に働くという意味です。
そこから「呂律が回らない」という形で、発音がうまくできない状態をいうようになりました。
「呂律が回らない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜の呂律が回らない」
「〜」には、話している人や酔っている人などが入ります。「酔客の呂律が回らない」「彼の呂律が回らない」などの形です。 - 「〜て呂律が回らない」
前に発音が不明瞭になった原因や状態を置きます。「酔って呂律が回らない」「舌がもつれて呂律が回らない」などと使います。 - 「呂律が回らなくなる」
はじめは普通に話していた人が、途中からうまく発音できなくなったことを表す形です。「酒が進んで呂律が回らなくなる」「次第に呂律が回らなくなった」などと使います。 - 「呂律が回らず〜」
後ろに、話し方や相手の反応などを続けます。「呂律が回らず聞き取りにくい」「呂律が回らず何度も聞き返される」などの形です。
「呂律が回らない」の例文
- 宴会の終わりごろには、彼はすっかり酔って呂律が回らなくなっていた。
- 電話に出た父の呂律が回らないので、何を言っているのか何度も聞き返した。
- かなり酒が入っていたらしく、呂律が回らず、名前さえうまく言えない様子だった。
「呂律が回らない」の類似表現
舌が回らない(したがまわらない)
発音しにくい言葉をうまく言えない場合や、なめらかに話せない場合にも使える表現です。
「早口言葉で舌が回らない」のように、酒酔いとは関係のない場面でも広く使えます。
舌がもつれる(したがもつれる)
舌を思うように動かせず、言葉をなめらかに発音できない状態について使います。
「呂律が回らない」と使われ方が重なることが多く、「舌がもつれてうまく話せない」のようにも表現できます。
「呂律が回らない」の古い用例
元禄6年(1693年)の『男重宝記』には、「ろれつかまわらぬは 呂律(りょりつ)也」とあります。
「呂律が回らぬ」という、現在の「呂律が回らない」とほぼ同じ言い方が、すでに17世紀末には使われていました。
これより少し前の1685年の浄瑠璃『公平武者執行』には「ろれつ」という言葉そのものの用例があり、この時代には「りょりつ」から変化した「ろれつ」が、言葉の調子を指す言葉として用いられています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「呂律が回らない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「呂律」「呂律が回らない」項。
- 日本芸術文化振興会『雅楽 GAGAKU』「呂律(りょりつ)と六調子」。
