下衆の勘繰り
読み方:げすのかんぐり
「下衆の勘繰り」の意味
品性の卑しい人は、何かにつけて余計に気を回し、他人の言動を悪いほうへ邪推するものだという意味です。
根拠の乏しい詮索や悪意のある推測を批判するときにも使われ、相手の品性まで低く評価する強い言い方です。
「下衆の勘繰り」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜は下衆の勘繰りだ」
「〜」には、根拠の乏しい推測や詮索を表す内容が入ります。「二人に何かあると思うのは下衆の勘繰りだ」「裏取引を疑うのは下衆の勘繰りだ」などの形です。 - 「下衆の勘繰りをする」
人の事情や意図を悪いほうへ推測する行為について使います。「他人の私生活を下衆の勘繰りする」「下衆の勘繰りをするな」などと使います。 - 「下衆の勘繰りかもしれないが〜」
自分の推測が意地の悪い見方かもしれないと断ったうえで、考えを述べる形です。「下衆の勘繰りかもしれないが、何か裏がありそうだ」などと続けます。 - 「下衆の勘繰りはやめる/よす」
不必要な詮索をたしなめるときに使います。「下衆の勘繰りはやめてくれ」「そんな下衆の勘繰りはよそう」などの形です。
「下衆の勘繰り」の例文
- 同僚二人が一緒に帰ったというだけで交際を疑うのは、下衆の勘繰りというものだ。
- 本人が何も話していないのに退職の理由を勝手に想像するような下衆の勘繰りはやめよう。
- 下衆の勘繰りかもしれないが、あれほど急に方針が変わった裏には何か事情があるのではないか。
「下衆の勘繰り」の類似表現
邪推(じゃすい)
他人の言動や気持ちを悪いほうへ推測することを指します。
「邪推する」「邪推を招く」など幅広い言い回しで使えます。
「下衆の勘繰り」は、邪推する行為だけでなく、そのような推測をする人の品性を非難する響きを伴います。
疑心暗鬼(ぎしんあんき)
疑う気持ちがあるために、何でも恐ろしく感じたり疑わしく思えたりする状態を指します。
「下衆の勘繰り」のように、他人の心や行動を意地悪く詮索することを直接非難する言葉ではありません。
「下衆の勘繰り」に含まれる言葉の意味
「下衆」は、もともと身分や素姓の低い人を指した言葉で、古くから使われており、「下種」「下司」などの表記もあります。
のちに、身分とは関係なく「品性が下劣なこと」「心根の卑しい人」という意味でも使われるようになりました。
「勘繰り」は、気を回して邪推することです。
江戸時代の洒落本『北華通情』(1794年)にも「かんくり」という言葉が使われており、独立した言葉として古くから用いられていました。
「下衆の勘繰り」の古い用例
山本健吉の「挨拶ということ」(1953年)には、「俳壇にはゲスのカングリみたいな悪罵が非常に多いから」とあります。
「ゲスのカングリ」と片仮名を交えた表記ですが、「人を悪く推し量ることを非難する」という現在の使われ方とほぼ同じです。
「下衆の勘繰り」の間違いやすい使い方・表記
「げす」は「下衆」のほか、「下種」「下司」とも書かれます。
「下種の勘繰り」を見出し語とする辞書もあり、いずれも「げすのかんぐり」と読みます。
単に「予想が外れた」「心配しすぎた」という場合には適しません。
他人の言動や意図を悪い方向へ邪推することを非難する表現で、「下衆」という強い言葉を含むため、人に直接向けると厳しい悪口になることがあります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「下衆の勘繰り」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「下種の勘繰り」「下種」「勘繰」項。
- 北村孝一編『小学館 ことわざを知る辞典』小学館、2018年、「下衆の勘繰り」項。
