気が知れない
読み方:きがしれない
「気が知れない」の意味
相手が何を考えているのか、なぜそのような行動をするのか理解できないという意味です。
単に相手の事情を知らないというより、その考え方や行動に対して「あきれる」「理解しがたい」と感じている場合に多く使われ、非難の気持ちを伴うこともあります。
「気が知れない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜の気が知れない」
「〜」には、考えや行動を理解できない相手が入ります。「彼の気が知れない」「あの判断をした人の気が知れない」などの形です。 - 「〜する人の気が知れない」
どのような行動を理解できないのかを「〜する」で具体的に示します。「平気で約束を破る人の気が知れない」「危険な場所へ近づく人の気が知れない」などと使います。 - 「〜なんて、〜の気が知れない」
「なんて」で驚きやあきれの対象となる行動を取り上げます。「大事な約束を忘れるなんて、彼の気が知れない」などと続けます。
過去の時点で理解できなかったことを述べる場合は、「気が知れなかった」とも言います。「当時は彼の気が知れなかった」などの形です。
「気が知れない」の例文
- 周囲が何度も危険だと止めているのに、一人で山へ入ろうとする人の気が知れない。
- 部下に責任を押しつけて自分だけ知らない顔をしているなんて、あの上司の気が知れない。
- 当時の私は、安定した仕事を辞めて新しい道を選んだ友人の気が知れなかったが、今ではその決断も少し理解できる。
「気が知れない」の類似表現
理解に苦しむ(りかいにくるしむ)
「理解に苦しむ」は、人の考えや行動だけでなく、説明、主張、判断など幅広い対象に使えます。
「その説明は理解に苦しむ」「彼の判断には理解に苦しむ点がある」などと使え、書面での使用や改まった場面にもなじみます。
「気が知れない」は、特に人の考え方や行動の動機を理解できないときに使いやすく、相手へのあきれや批判が表に出やすい言い方です。
わけがわからない(わけがわからない)
「わけがわからない」は、人の考えだけでなく、出来事、説明、状況などが理解できない場合にも使えます。
「何が起きたのかわけがわからない」「彼の説明はわけがわからない」といった使い方ができます。
「気が知れない」は対象となる人の心の内や行動の理由へ向けるのが基本で、「あんなことをする人の気が知れない」のように人物と結びつきやすい表現です。
「気が知れない」の古い用例
1753年の長唄『京鹿子娘道成寺』には、「殿御殿御の気が知れぬ気が知れぬ、悪性な悪性な気が知れぬ」という記述があります。
ここでは現在の「気が知れない」ではなく、「ない」に当たる部分を「ぬ」とした「気が知れぬ」の言い回しが使われています。
男性の気持ちが分からないという趣旨であり、18世紀半ばには、相手の心中を理解できないという現在につながる使われ方が見られます。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「気が知れない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「気が知れない」項。
- 野一色勲「『気』の研究―阪南大学 共通演習からの報告―」『阪南論集 人文・自然科学編』第40巻第1号、阪南大学学会、2004年、21~42頁。
