気が進まない
読み方:きがすすまない
「気が進まない」の意味
何かを自分から進んでしようという気持ちになれないことです。
気乗りがせず、積極的に行動する気になれない状態をいいますが、必ずしも強い拒絶を意味するわけではなく、「何となくやりたくない」「少しためらいがある」といった気持ちにも使えます。
「気が進まない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜するのは気が進まない」
行動を「の」で名詞化し、その行動に乗り気になれないことを述べる形です。「一人で交渉するのは気が進まない」「休日に出勤するのは気が進まない」などと使います。 - 「〜には気が進まない」
提案、計画、仕事などを対象として示す形です。「その提案には気が進まない」「危険な賭けには気が進まない」などと使えます。 - 「あまり/どうも/どうしても気が進まない」
「あまり」「どうも」「どうしても」などを前に置き、乗り気になれない程度や話し手の感覚を加えます。「あまり気が進まない」「どうも気が進まない」といった形です。 - 「気が進まなかった/気が進まず〜」
過去の気持ちは「気が進まなかった」、後ろの動作へ続ける場合は「気が進まず」とできます。「最初は気が進まなかった」「気が進まず返事を保留した」などの形です。
「気が進まない」の例文
- 条件そのものは悪くないが、相手の説明に曖昧な点が多く、この契約を結ぶのはどうも気が進まない。
- 先生から委員長を頼まれたものの、人前に立つのが苦手だったので、最初は気が進まなかった。
- 父は家族旅行には賛成しているが、混雑する時期に出かけることには気が進まないようだ。
「気が進まない」の類似表現
気が乗らない(きがのらない)
意味は非常に近く、多くの場面で言い換えられます。
「気が乗らない」は興味や意欲がわかず、その気になれないことをいい、「今日はどうも仕事に気が乗らない」のように、その時の意欲や調子についても使われます。
気が重い(きがおもい)
「気が重い」は、これからすることに心の負担を感じ、気分が晴れないという意味を含みます。
「明日の謝罪を考えると気が重い」のように、嫌なことや負担になることを控えて憂鬱になっている場面に適しています。
「気が進まない」の古い用例
『精選版 日本国語大辞典』は、二葉亭四迷『浮雲』(1887~1889年)の「今から帰るも何となく気が進まぬ」という記述を、初めて世に出た実例として掲げており、原文でもこの言い回しが見られます。
「進まぬ」は「進まない」に当たる否定形で、明治時代にはすでに、ある行動をする気になれないという現在とほぼ同じ意味で使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「気が進まない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「気が進まない」項。
- 集英社辞典編集部編『ルーツでなるほど慣用句辞典』集英社、1991年、「気が進まない」「気が重い」項。
- 二葉亭四迷『浮雲』、1887~1889年。
