相手にとって不足はない|意味・使い方・例文
読み方: あいてにとってふそくはない
意味: 勝負や競争をするのに十分な力量を持つ、ふさわしい相手であること。
「相手にとって不足はない」の意味
相手が自分と十分に対抗できる実力を持ち、互角に渡り合えると認めたときに使います。
相手の力量を高く評価する言葉ですが、同時に「自分もその相手と勝負できる」という自信や意気込みを表す場合が多くあります。単に相手が強いというだけでなく、挑戦する価値のある相手だというニュアンスを含みます。
「相手にとって不足はない」の使い方
スポーツの試合、将棋や囲碁などの対局、競技会、討論など、互いに力量を競う場面で使います。
「決勝の相手が前回の優勝者なら、相手にとって不足はない」のように、勝負する相手を示した後で用いるのが一般的です。「強敵だが、相手にとって不足はない」「相手にとって不足はないと意気込む」といった形でも使われます。
ここでいう「相手」は、話し相手や結婚相手ではなく、主に対抗して勝負を争う相手を指します。
「相手にとって不足はない」の例文
- 決勝で戦うのは昨年の優勝校だが、相手にとって不足はない。
- 世界王者との初対戦を前に、選手は「相手にとって不足はない」と闘志を燃やした。
- 経験豊富な先輩が討論会の対戦者だと知り、彼女は相手にとって不足はないと気持ちを引き締めた。
「相手にとって不足はない」の類似表現
相手として不足はない
「相手にとって不足はない」とほぼ同じ意味で、勝負する相手として十分な実力があることを表します。
「相手として不足はない」のほうが文の組み立てが分かりやすく、「彼は私の相手として不足はない」「対戦相手として不足はない」のように使います。
好敵手(こうてきしゅ)
「好敵手」は、実力が釣り合っていて、競い合う相手としてふさわしい人物を指す名詞です。「長年の好敵手」「彼を好敵手と認める」のように使います。
「相手にとって不足はない」が、その場で相手の力量を評価する文であるのに対し、「好敵手」は人物そのものを表す言葉です。
「不足」は何を表している?
この表現の「不足」は、数量や能力が足りないことではなく、満足できないことや不満があることを表します。
そのため、「相手にとって不足はない」は、「相手として不満はない」「勝負する相手として十分である」という意味になります。
「相手にとって不足はない」の古い用例
尾崎紅葉の小説『二人女房』(1891~1892年)には、「どうだ合手に取って不足は無からう」という用例が見られます。現在と同じく、勝負の相手として十分な力量があるという意味で使われています。
この用例では「とって」が「取って」と表記されており、「その人を相手に取る」、つまり勝負の相手として選ぶという言葉の組み立てが分かりやすく表れています。
間違いやすい使い方・表記
「相手にとって」の部分を、「子どもにとって大切だ」のような、ある人の立場や視点を表す「~にとって」と混同しないよう注意が必要です。
「相手にとって不足はない」は、「相手の立場から見て不足がない」という意味ではありません。自分がその人を勝負の相手として選んでも不満がないという意味です。古い用例に見られる「相手に取って」という表記を意識すると、意味を理解しやすくなります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「相手にとって不足はない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「相手にとって不足はない」項。