申し分がない
読み方:もうしぶんがない
「申し分がない」の意味
欠点や不満に思うところがなく、文句をつけるところがないという意味です。
かなり高い評価を示す言い方です。
「申し分がない」の語源・由来
「申し分」には、「物事を申し立てること、その内容」という意味のほか、「不満に思うところ」「非難すべき点」「欠点」という意味があります。
「申し分がない」では後者の意味で使われ、「ない」を伴って欠点や文句をつける点がないことを表します。
「申し分がない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜は申し分がない」
評価する人や物、能力、状態などを「〜は」で示します。「品質は申し分がない」「働きぶりは申し分がない」などの形です。 - 「申し分のない〜」
後ろに評価する名詞を続けます。「申し分のない出来」「申し分のない条件」などと使います。 - 「〜なら申し分がない」
ある条件を満たしていれば十分だと評価する形です。「この価格なら申し分がない」「この広さなら申し分がない」などと使います。 - 「〜さえあれば申し分がない」
あと一つの条件が満たされれば十分だという場合に使います。「駐車場さえあれば申し分がない」「時間さえあれば申し分がない」などの形です。
「申し分がない」の例文
- 新しい会場は交通の便も設備も整っており、研修場所としては申し分がない。
- 彼女は知識が豊富で説明も丁寧なので、この仕事を任せるには申し分のない人材だ。
- この部屋は広さも日当たりも気に入っている。駅までもう少し近ければ申し分がない。
「申し分がない」の類似表現
非の打ち所がない(ひのうちどころがない)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「非の打ち所がない」は、非難すべき欠点がまったく見当たらないという強い評価で、人柄や能力、作品などを高く評価するときにも使われます。
文句なし(もんくなし)
「文句なし」も、苦情や不満を言う余地がないことを表します。
「文句なしの合格」「文句なしに一位」のように、名詞を修飾したり、副詞的に使ったりする形もあります。
「申し分がない」の古い用例
井原西鶴『世間胸算用』(1692年)には、「申分はなけれども」という形が見られます。
「が」ではなく「は」を使っていますが、「申し分」を否定する用法は江戸時代にすでに使われていました。
二葉亭四迷『浮雲』(1887~1889年)には、「申分がないんだけれども」という言い回しが見受けられます。
明治時代には、現在と同じ「申し分がない」という形が用いられています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「申し分がない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「申分」「申分がない」項。
- 集英社『ルーツでなるほど慣用句辞典』「申し分がない」項。
