灰汁が抜ける|意味・使い方・例文
読み方: あくがぬける
意味: 人柄や身なりなどのくどさが取れ、すっきりと洗練された印象になること。
「灰汁が抜ける」の意味
以前は嫌みやあくどさ、強すぎる癖が感じられた人が、経験を重ねるなどして、さっぱりとした印象に変わる様子を表します。
初めから洗練されている人ではなく、もともとあった受け入れにくさが薄れたという変化に重点があります。多くは、人柄や容姿が以前より好ましくなったことを表す、肯定的な言い方です。
「灰汁が抜ける」の使い方
「年齢を重ねて灰汁が抜ける」「若いころに比べて灰汁が抜けた」のように、時間や経験による変化を表す場面でよく使います。
人そのものを主語にして「彼は灰汁が抜けた」と表すほか、「人柄の灰汁が抜ける」「話し方が灰汁の抜けたものになる」のように、性質や振る舞いの変化を示すこともできます。
名詞を直接修飾する場合には、「灰汁の抜けた人柄」「灰汁が抜けた装い」のような形も使われます。
相手本人に「ずいぶん灰汁が抜けましたね」と言うと、以前は嫌みやくどさがあったと指摘することになります。目上の人や改まった場面では、本人への直接的な評価として使うのは避けたほうがよいでしょう。
「灰汁が抜ける」の例文
- 若いころは気負いが目立ったが、年齢を重ねてすっかり灰汁が抜けた。
- 派手な服装を好んでいた彼女も、最近は灰汁の抜けた装いになった。
- 新人時代の硬さが消え、彼の話し方にも少しずつ灰汁が抜けてきた。
「灰汁が抜ける」の類似表現
垢抜ける(あかぬける)
「垢抜ける」は、容姿、動作、服装、技芸などが、都会的ですっきりと洗練されることを表します。
「灰汁が抜ける」は、以前にあった嫌みやくどさが取れたという意味合いを含みます。一方、「垢抜ける」は、服装や見た目がしゃれた印象になる場合にも広く使われ、もともと嫌みがあったことまでは示しません。
角が取れる(かどがとれる)
「角が取れる」は、世間での経験を重ね、人柄が穏やかで円満になることに重点があります。
「灰汁が抜ける」は、嫌みや強すぎる癖が薄れて洗練されることを表します。「以前より怒らなくなった」「人当たりが柔らかくなった」という変化には、「角が取れる」のほうが合います。
「灰汁」とは何を表している?
「灰汁」は、もともと草木の灰を水に浸して得る上澄み液です。また、山菜などに含まれる渋みやえぐみ、煮物の表面に浮く泡状のものも「灰汁」と呼びます。
そこから意味が広がり、人の性質や文章などに感じられる、しつこさ、強すぎる癖、嫌みも「灰汁」と呼ぶようになりました。
食材から灰汁が抜けると、渋みやえぐみが和らいで食べやすくなります。「灰汁が抜ける」は、この変化を人柄や身なりに重ね、受け入れにくいくどさが取れて洗練される様子を表した言葉です。
「灰汁が抜ける」の古い用例
明和3年(1766年)に刊行された、上田秋成が「和訳太郎」の名で著した浮世草子『諸道聴耳世間猿』には、次の用例が見られます。
女房おりさも加茂川の水に灰汁のぬけた粋の果
人を「灰汁のぬけた」と表し、嫌みやくどさのない、洗練された人物として描いた用例です。江戸時代中期には、現在につながる意味で使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「灰汁が抜ける」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。