歯が立たない
読み方:はがたたない
「歯が立たない」の意味
相手が強すぎたり、物事が難しすぎたりして、自分の力や能力ではかなわないことです。
人との勝負だけでなく、難問や高度な仕事など、自分の力量では対処できないものにも使います。
「歯が立たない」の語源・由来
もとは、物が硬すぎて、噛もうとしても歯が食い込まず、噛むことができないことをいう表現です。
そこから、自分の力では相手にかなわないことや、難しい物事を処理・理解できないことを表すようになりました。
「歯が立つ」という肯定形もありますが、実際には「歯が立たない」「歯が立たぬ」など、打ち消しを伴う形が多く使われます。
「歯が立たない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜には歯が立たない」
「〜」には、実力が上の相手や、自分には難しすぎる物事が入ります。「プロには歯が立たない」「この難問には歯が立たない」などの形です。 - 「まったく/とても歯が立たない」
程度を表す言葉を前に置き、力が及ばないことを強めます。「まったく歯が立たない」「とても歯が立たない」などと使います。 - 「歯が立たない〜」
後ろに相手や物事を表す名詞を続ける形です。「歯が立たない強敵」「歯が立たない難問」などと使います。 - 「歯が立たなかった」
実際に挑戦した結果、かなわなかったことを表す過去形です。「強豪には歯が立たなかった」「難しい課題に歯が立たなかった」などの形があります。
「歯が立たない」の例文
- 全国大会で優勝経験のある選手と対戦したが、実力の差が大きく、最後まで歯が立たなかった。
- 初めてその専門書を開いてみたものの、知らない用語ばかりで私には歯が立たない。
- 何度も作戦を練り直して挑んだが、今回の競合相手にはまったく歯が立たなかった。
「歯が立たない」の類似表現
太刀打ちできない(たちうちできない)
まともに張り合っても勝てない相手に対して使いやすい表現です。
人や組織などを相手にした競争では、多くの場面で言い換えることができます。
「難しい本には歯が立たない」のように、理解するのが難しい物事にも使える点では「歯が立たない」のほうが使用範囲が広くなります。
手に負えない(てにおえない)
自分の能力では扱いきれない、処理しきれないという場合に使います。
「手に負えない仕事」「手に負えない問題」のように、対処の難しさを表すことが多く、強い相手との実力差を述べる場合には「歯が立たない」のほうがしっくりきます。
「歯が立たない」の古い用例
元禄5年(1692)出版の榎本其角『雑談集』には、彫棠の句として「歯のたたぬ書をよむ程の窓の月」という記述があります。
ここでは、現在の「歯が立たない」ではなく「歯のたたぬ」という言い回しで、どんな「書」であるかを説明しています。
「歯のたたぬ」が「硬い食べ物」ではなく、「読むのが難しい書物」に対して使われており、17世紀末にはすでに、理解するのが難しく自分の力が及ばないという比喩的な使われ方がされています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「歯が立たない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「歯が立つ」項。
- 現代言語研究会著『慣用句の辞典』あすとろ出版、2007年、「歯が立たない」項。
