顔が売れる
読み方:かおがうれる
「顔が売れる」の意味
世間に広く知られるようになり、有名になることを意味する慣用句です。
人の知名度について使う表現で、必ずしも好意的に知られる場合だけとは限りません。
「顔が売れる」の語源・由来
「売れる」には、商品が買われるという意味のほか、「広く人に知られる」という意味があります。
「顔が売れる」の「売れる」も、この意味で使われています。
ここでいう「顔」は実際に売買されるものではなく、その人を見分ける顔を通して、本人が広く知られることを表しています。
「顔が売れる」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜で顔が売れる」
「〜で」には、知られる範囲や分野などが入ります。「業界で顔が売れる」「地元で顔が売れる」などの形です。 - 「〜に顔が売れている」
「〜に」には、その人をよく知っている集団や相手を入れます。「関係者に顔が売れている」「地元の人に顔が売れている」などと使います。 - 「顔が売れてくる/顔が売れるようになる」
知名度が少しずつ高まることを表す形です。「テレビ出演で顔が売れてきた」「受賞を機に顔が売れるようになった」などと使います。
「顔が売れる」の例文
- 地元のテレビ番組に何度も出演したことで、店主はすっかり顔が売れた。
- 全国大会で活躍を続けるうちに、彼女もスポーツ界で顔が売れてきた。
- あの記者は長年この地域を取材しているため、役所や商店街の人たちにも顔が売れている。
「顔が売れる」の類似表現
顔を売る(かおをうる)
「顔を売る」は、自分の存在を世間に広く知られるようにすることをいいます。
「顔が売れる」が、知られるようになった結果や状態を表しやすいのに対し、「顔を売る」は「会合に出て顔を売る」のように、自分を知ってもらうための行動について使えます。
顔が広い(かおがひろい)
「顔が広い」は、知り合いが多く、付き合いの範囲が広いことをいいます。
有名かどうかよりも人とのつながりについて使う表現なので、「業界では顔が広く、多くの経営者を知っている」のような場合に適しています。
「顔が売れる」の古い用例
1751~1764年ごろの浮世草子『枕童児抜差万遍玉茎』には、「後には顔がうれて」という形が使われています。
江戸中期には、すでに「顔が売れる」という言い回しが、広く知られるという意味で用いられていました。
表記は「うれて」と仮名書きですが、言葉の形も意味も現在の「顔が売れる」とほぼ同じです。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「顔が売れる」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「顔が売れる」「売れる」「顔を売る」項。
