顔が揃う
読み方:かおがそろう
「顔が揃う」の意味
集まるべき人や出席する予定の人が、全員その場に集まることをいいます。
誰かが欠けている状態ではなく、予定された人々が一通り集まったことを表す言い方です。
「顔が揃う」の語源・由来
「顔」は本来、人の身体の一部を指す言葉ですが、「顔が揃う」では「人」の意味で使われています。
身体の一部である顔によって、その人全体を表す使われ方です。
「顔」を含む表現の研究でも、「顔が揃う」の「顔」は、部分によって全体を表す関係から「人」を指すものとされています。
「顔=人」と「揃う」が結びついて成り立った表現であり、特定の故事や出来事に由来する慣用句ではありません。
「顔が揃う」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜の顔が揃う」
「〜」には、会議や集まりに参加する人々を表す語が入ります。「委員の顔が揃う」「出席者の顔が揃った」などの形です。 - 「顔が揃ったら〜」
全員が集まることを、その後の行動を始める条件として示します。「顔が揃ったら始める」「顔が揃ったら説明する」などと使います。 - 「顔が揃うまで〜」
全員が集まる時点まで待つことなどを表します。「顔が揃うまで待つ」「顔が揃うまで開始しない」などの形です。 - 「ようやく/やっと顔が揃う」
遅れていた人などが来て、全員が集まったことを表しやすい形です。「ようやく顔が揃った」「やっと顔が揃う」などと使います。
「顔が揃う」の例文
- 朝の打ち合わせは一人が遅れていたため、全員の顔が揃うまで始められませんでした。
- 久しぶりの同窓会で懐かしい顔が揃い、会場はたちまちにぎやかになりました。
- 役員の顔が揃ったら、新しい事業計画について話し合う予定です。
「顔が揃う」の類似表現
顔を揃える(かおをそろえる)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「発起人一同が顔を揃える」のように、人々を主語にして使える形です。
「顔が揃う」は「顔」を主語とし、全員が集まった状態を述べる形になっています。
一堂に会する(いちどうにかいする)
多くの人が同じ場所に集まることをいう、やや改まった表現です。
「顔が揃う」は、あらかじめ集まるべき人や予定された人が欠けずに集まったことをいう場合に向いています。
「顔が揃う」の古い用例
岡本かの子の小説『河明り』には、「これで顔が揃った。まあ祝盃として一つ」とあります。
この作品が最初に登場したのは『中央公論』1939年(昭和14年)4月号です。
必要な人物がその場に集まったところで使われており、この時代には現在と同じ使われ方がされています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「顔が揃う」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 有薗智美「『顔』の意味拡張に対する認知的考察」『言葉と文化』第9号、名古屋大学大学院国際言語文化研究科日本言語文化専攻、2008年、287~301頁。
- 青空文庫、岡本かの子「河明り」(底本『昭和文学全集 第5巻』小学館、1986年。初出『中央公論』1939年4月号)。
