顔が利く
読み方:かおがきく
「顔が利く」の意味
信用や知名度、地位などによる影響力があり、相手に頼みを聞いてもらったり、多少の無理を通したりできることをいいます。
単に多くの人に知られているだけでなく、その人の存在や信用が実際に力を持つ状態を指します。
「顔が利く」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に顔が利く」
「〜」には、その人の影響力が通じる場所、組織、業界などが入ります。「地元の商店街に顔が利く」「出版業界に顔が利く」などの形です。 - 「〜では顔が利く」
影響力の及ぶ範囲を「では」で示す形です。「あの店では顔が利く」「この町では顔が利く」などと使います。 - 「顔が利く人/顔の利く人」
人物を修飾する形でも使われます。「業界に顔が利く人」「地元で顔の利く人物」などの形です。
「顔が利く」の例文
- 地元の飲食店に顔が利く叔父が、急な会食の席を探すのを手伝ってくれた。
- 彼女は長年この業界で働いてきたため、主要な取引先にも顔が利く。
- 普段は目立たない人だったが、その町では意外なほど顔が利き、交渉はすぐにまとまった。
「顔が利く」の類似表現
顔が広い(かおがひろい)
知り合いが多く、交際の範囲が広いことをいいます。
「顔が広い」だけでは、その人の頼みが通るほどの影響力があるとは限りません。
顔を利かせる(かおをきかせる)
自分が持つ権力や影響力を実際に使って、物事を有利に運ぶことをいいます。
「顔が利く」がその人の持つ影響力を述べる形なのに対し、「顔を利かせる」は、その力を使う行為を表すときに向いています。
「顔が利く」に含まれる言葉の意味
「顔」は顔面だけでなく、一定の社会や地域での知名度、勢力、社会的な信用や評判を表すことがあります。
「顔が利く」の「顔」も、この比喩的な意味で使われています。
「利く」には、持っている働きや能力が十分に発揮されるという意味があり、「顔が利く」「気が利く」「融通が利く」などでは、この意味の「利く」が使われます。
「顔が利く」の古い用例
江戸後期の『芝居見物穴づくし』(1818~30年頃か)には、「顔のきくやうな顔してはひる人」という記述があります。
「顔のきく」という形で、すでに人の立場や影響力に関わる表現として使われています。
現代でも、名詞を修飾するときには「顔の利く人」のように「の」を使う形があります。
「顔が利く」の間違いやすい使い方・表記
漢字では「顔が利く」と書きます。
「利く」は、持っている機能や能力が十分に働く場合に用いる言葉です。
「薬が効く」のように、効果や効き目が現れることを表す「効く」とは使い分けられます。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「顔が利く」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「顔が利く」「顔」「利く」項。
- 沖裕子「比喩の形式と意味―日本語教育のための基礎的研究―」『信大日本語教育研究』第4号、2004年、2~15頁。
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』「同訓異義 きく(1)」。
