下手をすると
読み方:へたをすると
「下手をすると」の意味
成り行きが悪ければ、好ましくない結果になる可能性があることを表す言葉です。
「下手をすると命に関わる」「下手をすると会社が倒産する」のように、主に悪い結果や危険な事態を予想するときに使われます。
「下手をすると」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「下手をすると〜になる」
悪い成り行きの先に起こり得る状態を続けます。「下手をすると肺炎になる」「下手をすると大事故になる」などの形です。 - 「下手をすると〜かもしれない」
起こる可能性のある好ましくない事態を、断定せずに示す形です。「下手をすると間に合わないかもしれない」「下手をすると倒産するかもしれない」などと使います。 - 「下手をすると〜かねない」
悪い結果への警戒を強く出したいときに使います。「下手をすると信用を失いかねない」「下手をすると事故につながりかねない」などの形です。 - 「下手をすれば〜」
「すると」を「すれば」に替えた形も使われます。「下手をすれば一日かかる」「下手をすれば計画そのものが頓挫する」などと続けます。
「下手をすると」の例文
- 症状を軽く考えて放置していれば、下手をすると入院が必要になるかもしれない。
- このまま赤字が続けば、下手をすると店を閉めることになりそうだ。
- 山では天候が急変するので、十分な装備を持たずに入れば、下手をすると命に関わる。
「下手をすると」の類似表現
一つ間違えば(ひとつまちがえば)
「一つ間違えば」は、判断や手順などを少し誤っただけで重大な結果につながる場面に向いています。
「一つ間違えば大事故だった」のように、どこかに危険な分岐点があることを意識させる表現です。
悪くすると(わるくすると)
意味や使い方には「下手をすると」と重なる部分が多く、「悪くすると病状が長引く」のように使えます。
「下手をすると」のほうが日常会話でも使いやすく、「悪くすると」はやや説明的な響きを持つことがあります。
「下手をすると」の古い用例
『精選版 日本国語大辞典』では、長与善郎『竹沢先生と云ふ人』(1924~25年)の中の「下手するとだんだん趣味的になって」という記述が、もっとも早く使われた作品として挙げられています。
現在も使われる「を」を省いた「下手すると」という言い方が、すでに使われています。
平林初之輔「乱歩氏の諸作」は、1929年1月5日の『東京朝日新聞』に発表された文章で、「下手をすると作者の方がくたびれてしまう」とあります。
ここでは「下手をすると」の言い回しで、その後に起こり得る好ましくない結果を示しており、現在とほぼ同じ使われ方です。
「下手をすると」の間違いやすい使い方・表記
「下手すると」と「下手をすると」は、どちらも使われる形で、「下手すると」は「を」が省かれた形で、辞書にも掲載されています。
「下手をすると」は、単なる「もしかすると」と完全に同じではありません。
普通は「失敗する」「悪化する」「危険な状態になる」など、好ましくない方向への可能性を示すため、「下手をすると宝くじに当たる」のような純粋に好ましい結果に対しては使いにくい表現です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「下手をすると」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「下手すると」項。
- 平林初之輔「乱歩氏の諸作」『東京朝日新聞』1929年1月5日。
