苦虫を噛み潰したよう
読み方:にがむしをかみつぶしたよう
「苦虫を噛み潰したよう」の意味
ひどく不愉快そうな、苦々しい顔つきをたとえる表現です。
怒りや不満、嫌悪などが顔に表れている様子をいいます。
「苦虫を噛み潰したよう」の語源・由来
「苦虫」は、特定の種類の虫ではなく、噛めばひどく苦いだろうと想像される虫を指す言葉です。
その苦虫を口の中で噛み潰したときのような顔を思い浮かべ、苦々しく不愉快そうな表情のたとえとしたものです。
「苦虫を噛み潰したよう」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「苦虫を噛み潰したような顔・表情」
「ような」の後ろに「顔」「表情」「顔つき」などを置き、その人の表情を形容します。「苦虫を噛み潰したような顔」「苦虫を噛み潰したような表情」などの形です。 - 「苦虫を噛み潰したような顔で〜」
「で」を続けると、その表情のまま何かをしている様子を表せます。「苦虫を噛み潰したような顔で話を聞く」「苦虫を噛み潰したような顔でうなずく」などと使います。 - 「苦虫を噛み潰したように〜」
「ように」として、後ろの動作や顔の変化を修飾する形です。「苦虫を噛み潰したように顔をしかめる」「苦虫を噛み潰したように口をゆがめる」などと続けます。
「苦虫を噛み潰したよう」の例文
- 自分の提案があっさり退けられ、部長は苦虫を噛み潰したような顔で席に戻った。
- 審判の判定に納得できないのか、監督は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてグラウンドを見つめていた。
- 痛いところを指摘された彼は、苦虫を噛み潰したように顔をしかめ、それ以上は何も言わなかった。
「苦虫を噛み潰したよう」の類似表現
眉をひそめる(まゆをひそめる)
心配や不快、不満などから眉を寄せることをいいます。
「彼の態度に眉をひそめる」のように、不快に感じた対象を「〜に」で示すことができます。
「苦虫を噛み潰したよう」は顔つき全体をたとえて描写することが多いのに対し、「眉をひそめる」は実際の顔の動きを表す言い方です。
苦り切る(にがりきる)
非常に不愉快そうな様子になることです。
「苦り切った顔」「苦り切った表情」の形で使われ、「苦虫を噛み潰したよう」と近い場面で言い換えられます。
「苦虫を噛み潰したよう」は「苦虫」というものを噛んだ顔にたとえる表現ですが、「苦り切る」にはそのようなたとえは含まれません。
「苦虫を噛み潰したよう」の古い用例
滑稽本『浮世風呂』には、1809~1813年の用例として「苦虫を食潰した様な㒵をして」という言葉が使われています。
当時は現在一般的な「噛み潰した」ではなく、「食い潰した」に当たる形も使われていました。
木暮理太郎「鹿の印象」には「苦虫を噛み潰したように醜くゆがんだ」という表現があります。
この作品は1935年8月に『文藝春秋』で発表されており、この時期には現在と同じ「苦虫を噛み潰したように」という形が使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「苦虫を噛み潰したよう」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「苦虫」「苦虫を食い潰したような顔」項。
- 木暮理太郎「鹿の印象」『文藝春秋』1935年8月。
