悪態をつく|意味・使い方・例文
読み方: あくたいをつく
意味: 相手に向かって、口汚く悪口を言ったり、ののしったりすること。
「悪態をつく」の意味
「悪態をつく」は、相手をけなしたり、傷つけるような言葉を言い放ったりする様子を表します。単なる不満や愚痴よりも言葉が強く、怒りや反発、悔しさなどが表面に出ている場面で使われます。
「悔し紛れに悪態をつく」のように、自分の思いどおりにならなかった人が、腹立ちを相手へぶつける場合にもよく使われます。
「悪態をつく」の使い方
「親に悪態をつく」「店員に悪態をつく」のように、悪口を向ける相手を「に」で示します。芥川龍之介の「温泉だより」にも、「お松にさえ、さんざん悪態をついた」という用例があります。
程度の激しさを表す「さんざん」や、怒った理由を示す「悔し紛れに」などと結び付けて使われます。また、自分がののしられる側になった場合には、「客に悪態をつかれる」のように受け身の形でも使えます。
「悪態をつきながら立ち去る」「悪態をついた揚げ句、部屋を出ていく」のように、悪口を言った後の行動を続ける形も見られます。
相手を強く非難する表現なので、改まった場や目上の人との会話には適しません。
「悪態をつく」の例文
- 兄は試合に負けた悔しさから、相手チームに悪態をつきました。
- 彼女は店員に悪態をついた後、言いすぎたことを謝りました。
- 駅員は、電車の遅れに腹を立てた乗客から悪態をつかれていました。
「悪態をつく」の類似表現
毒づく(どくづく)
「毒づく」は、激しい口調で悪口を言うことに重点を置いた表現です。「突然、相手に毒づく」「腹を立てて毒づき始める」のように使います。
「悪態をつく」と意味はよく似ていますが、「毒づく」は怒りをこめて激しく言葉を吐き出す様子が、より強く感じられます。
憎まれ口をたたく(にくまれぐちをたたく)
「憎まれ口をたたく」は、人から嫌われるようなことや、相手を不快にさせるようなことを言う表現です。
「悪態をつく」は口汚くののしる場面に使われやすいのに対し、「憎まれ口をたたく」は、反抗的な言葉や、わざと相手の気に障るような発言にも使えます。必ずしも激しい罵倒とは限りません。
「悪態」とはどのような意味?
「悪態」は、悪口を言って相手をののしること、またはその言葉を指します。「悪態の限りを尽くす」のように、「悪態」だけでも名詞として使われます。
「悪態」という語は江戸時代には使われており、1752年の談義本『当世下手談義』には、「悪対」という表記の用例が見られます。
「悪態をつく」の成り立ち
「つく」は漢字では「吐く」と書き、ここでは、好ましくない言葉を口から言い放つという意味です。「うそをつく」の「つく」と同じ使い方です。
そのため、「悪態を吐く」と書いて「あくたいをつく」と読む表記もあります。現在は、「吐く」を「つく」と読むことが分かりにくいため、「悪態をつく」と平仮名で書くのが一般的です。
「悪態をつく」の古い用例
江戸時代の1777年に刊行された咄本『喜美賀楽寿』には、「あくたいをつきちらして」という用例があります。人々が歌を歌ったり、悪口を言い散らしたりしながら帰る様子を表したものです。江戸時代には、現在と同じく、悪口や憎まれ口を言う意味で使われていました。
芥川龍之介が1921年に発表した「奇怪な再会」には、「さんざん悪態を御つきになった揚句」という表現が見られます。「御つきになる」という敬語の形で、身分のある女性が激しく悪口を言う場面を描いています。
1925年発表の「温泉だより」では、「お松にさえ、さんざん悪態をついた」と使われています。悪口を向ける相手を「に」で示す用法は、現在にも引き継がれています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「悪態を突く」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「悪態」「悪態を吐く」項。
- 集英社辞典編集部編『ルーツでなるほど慣用句辞典』集英社、1991年、「悪態をつく」項。
- 芥川龍之介「奇怪な再会」『芥川龍之介全集4』ちくま文庫、筑摩書房、1987年。
- 芥川龍之介「温泉だより」『芥川龍之介全集6』ちくま文庫、筑摩書房、1987年。